私は割合と、モノを扱うのは丁寧な方です。
鞄や財布なども、何年も使っていても結構キレイだし、
本も、まあ本屋なんで本を雑に扱うというのはどうかと思いますが、
メルカリで売っても「キレイな本をありがとう」とまず、言っていただける。
好きなものは大切に扱います。
しかし、好きすぎて、キレイじゃないものもある。
本である。
矛盾してるでしょう。
風呂に、一人で入ってるのがつまらなすぎて、
キャンセルしたくなるので、
気に入りの入浴剤を入れ、気に入りの本を携えて、
それでやっと入るのです。
せっかく湯舟に湯を張るのだから、
サッとあがってはもったいない。
芯から温まるまで、好きな本でも読みたい。
じゃないと、風呂に足が向かない。
どんな本でもいいわけじゃなくて、
気持ちよく読めて、途中でやめても後ろ髪までは引かない、
アッサリとシャバに戻してくれる本が好ましい。
コージーミステリーとか、海外暮らしの長い方のオシャレエッセイだったり。
今回は、この本、とっても楽しめました。
『好きになってしまいました』だいわ文庫 三浦しをん著
2025年2月、本体価格780円。
読んでいたらですね。
「せっかく湯舟に湯を張ったからには、なるべく長く浸かっていようと企むのが貧乏性なところ。そこで登場するのが本だ。本があれば、「もう風呂には飽きたなあ」と五分で湯船から飛び出そうとするのを防止できる。」
ーーー三浦しをん「湯舟でひもとく『源氏物語』より。『好きになってしまいました』所収
デジャブすぎる!
それを湯舟で読んでいるワレ!!
しをんさんが湯舟で読んでるのは、林望の『謹訳 源氏物語』。
長風呂しすぎて全身ふやけたそうですが。
全身もふやけるが、本もふやける。
これは私の話ですけど、
読んでると眠くなって、水没する本も時々ある。
一回でも水没したものは、もう、元には戻らない。
そういう本はもう、売れないので、結果的にウチにいつまでも残るのだが、
寝落ちするほど面白い本なので、どっちみち売ることにはならない。
風呂は、どんどんぬるくなってしまって、
出るに出られないくらいになってしまうことも。
追い炊きをして、気が済んだら出ます。
その時に、入浴剤に力があると、追い炊きが不要の時もあります。
「きき湯」はやっぱりすごくて、
秋までは追い炊き不要でした。
今は、寒いし「きき湯」も切らしているので、追い炊きをしています。
本書は、本のレビューだけでなく、旅エッセイだったり、
お父さんの話だったり、いろんな話の詰め合わせ。
見開き2ページで1話の短いエッセイも多く、
テキトーに切り上げて寝なさいよ!的な、風呂本としても
最適であります、と申し添えておきます。
水没させる前に読了しました。
多少ふやけていても、この程度であれば復活します。
978-4-479-32117-0
