文科省の「今後の医学教育の在り方に関する検討会」(くすり×リテラシー2023年6月1日9月5日10月8日)が来週開催されるので、中間とりまとめ(2023年9月29日)を再読し、来年度(令和6年度)の概算要求を確認しました。医師の働き方改革に関しては「医師の働き方改革に伴う大学病院緊急パッケージ」(新規、120億)が計上されています(p12)。

 

2024年度から適用される医師の時間外/休日労働の上限規制は以下の通り(厚生労働省「医師の働き方改革」)。大学病院はとりあえず1860時間(!)が上限です。

・<現状>病院常勤勤務医の約4割が年960時間超、約1割が年1860時間超の時間外・休日労働をしており、特に救急、産婦人科、外科、若手は長時間の傾向が強い

・2024年から、原則960時間(月80時間)が上限(A水準)=一般労働者と同程度

・ただし、医師を派遣する病院(連携B)、救急医療等を実施する病院(B)、臨床・専門研修する病院(C-1)、高度技能の修得研修する病院(C-2)では年1860時間(月155時間)が上限

・連携BおよびBは、2035年度末を目標に終了

 

緊急パッケージでは、大学病院に対して大学本部と一体となった“改革プラン”を策定してもらい、改革に向けた取り組みを行っている大学病院に対して1大学当たり年間3億円を上限に予算措置します。医学部を持つ(=附属病院のある)大学は全国に82校(国公立51、私立31)あるので、全校に3億円配るわけではなさそうです。

 

“改革プラン”は、・運営改革(業務効率化、地域の病院との機能分化や臨床実習の協働など)・教育・研究改革(若手に対する環境整備、最先端設備の整備など)・人員構造改革(人員確保、教育研究のタスクシフト/タスクシェアなど)、・財務構造改革(共同研究の推進、寄付金増、コスト削減など)が想定されています。最先端設備を導入したら、かえって仕事が増えそうな気もしますが……(?)

 

個人的には、医師でなくてもできる仕事を他の人(医療従事者/非医療従事者)にやってもらう(タスクシフト)を大胆に進めるしか、医師の労働時間を減らす方法はないと思います。さらに言えば、大学病院がやるべき医療の範囲を絞り込むこと、またそもそも医療機関がやるべき医療の範囲を見直して、やらなくてもいいこと、やるとかえって害になることはやらないという判断(Choosing Wisely)を望みます。