5月12日に成立した改正健康保険法(概要pdf)で、出産育児一時金の支給額を42万円から50万円に引き上げる、一定の収入がある後期高齢者(75歳以上)の健康保険料を段階的に引き上げる(日経2023年5月12日)等が決まりました。筆者が注目したのはかかりつけ医機能の法定化(くすり×リテラシー2022年11月29日12月8日です。

 

法律案新旧対照条文pdfを確認すると、医療法第6条の3第1項に「病院、診療所又は助産所(以下この条において「病院等」という)の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療を受ける者が身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能(以下「かかりつけ医機能」という。)その他の病院等の機能についての十分な理解の下に病院等の選択を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定める事項を当該病院等の所在地の都道府県知事に報告するとともに、当該事項を記載した書面を当該病院等において閲覧に供しなければならない」と書かれていました(p102)。つまり下線部が「かかりつけ医機能」ということになります。ごくざっくりしています(!)。

 

米国立科学アカデミー(NAS)は「Primary Careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、 家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスサービスである」と定義しています(日本プライマリ・ケア連合学会神奈川支部)。これは『Primary Care: America's Health in a New Era』(1996)の第2章「プライマリ・ケアの定義(Defining Primary Care)」の「新しい定義と用語の説明(The New Definition And An Explanation Of Terms)」の項目にある「Primary care is the provision of integrated, accessible health care services by clinicians who are accountable for addressing a large majority of personal health care needs, developing a sustained partnership with patients, and practicing in the context of family and community.」の日本語訳でしょう。

 

プライマリ・ケア連合学会のホームページには、医療を受ける患者にわかりやすい表現で「身近にあり、何でも相談にのれる総合的な医療を提供」と書かれていました。