新型コロナウイルス(SARS-Co-V2)は肺、心、血管、腎臓の細胞膜に発現するACE2受容体を介して細胞内に侵入し、またACE阻害薬(ACEI)やARBはACE2受容体を増加させるという実験データがある(日医COVID-19有識者会議2020年5月15日、6月15日訂正)ことから、これらの薬は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予後に影響を与えるのでは?と、これまで様々な検討が行われてきました。日本発の後ろ向きコホート研究(Hypertens Res. 2020;43:1257-66.)では、COVID-19発症前にACEI/ARBを服用していた患者は、服用していなかった患者に比べて、院内死亡や人工呼吸器使用、ICU入室の頻度が少ない傾向が示されていました(症例数が少なかったため有意差はなし)。

 

COVID-19入院患者を対象に、ACEIやARBの服用を中断するかどうかで予後に差があるかを調べたブラジルのオープンラベルランダム化比較試験(RCT、NCT04364893)が、JAMA 1月19日号に発表されました(JAMA 2021; 325(3): 254-64.)。PICOは以下です。

 

P:入院前にACEIまたはARBを服用していたCOVID-19入院患者(軽症~中等症)659人(年齢中央値55.1歳)

I:薬を中断する(334人)

C:薬を中断しない(325人)

O:生存退院までの日数

 

結果は、中断群は平均21.9日、継続群は平均22.9日で、有意差はありませんでした(比0.95,95%CI 0.90-1.01)。副次アウトカム(の1つである)死亡割合も、中断群2.7%、継続群2.8%でほぼ同じでした(オッズ比0.97,95%CI 0.38-2.52)。持病のためにACEIやARBを飲んでいる人は、COVID-19にかかったからといって薬をやめる必要はなさそうです。