9月10日に厚労省の「指定感染症としての措置・運用の在り方に関するWG」が開催されました。設置要綱(当日資料1)によるとこのWGは、国の「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組(2020年8月28日)」で「季節性インフルエンザの流行期も見据え、感染症法に基づく権限の運用について、政令改正も含め、柔軟に見直しを行っていく」とされたことを受けて、厚労省の「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(座長は感染研所長の脇田隆字氏)」の下に置かれたものです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、内閣官房や厚労省に複数の会議があり(委員はかなり重複している)、資料が公開されるURLがそれぞれ違うので分かりにくいです。

 

 COVID-19は感染症法上の指定感染症ですが、指定感染症は、新しい知見を踏まえて、(法律を変えなくても)政令改正レベルでできること(措置)を変更することが可能です(当日資料2)。報道(日経2020年9月10日)によれば、保健所や医療現場の負担軽減のため、厚労省は季節性インフルエンザの流行時期に間に合うよう措置を緩和することをめざしているものの、「慎重論も強い」とのことです。いずれにせよ18日には事務局案をとりまとめ、10月上旬には見直しを施行する(当日資料3)見通しです。

 

 筆者個人としては、COVID-19はもう季節性インフルエンザと同程度(=5類)の扱い(くすり×リテラシー2020年8月25日8月31日)でよいのではないかと考えます。というのも、改めて死者数を確認してみたら、季節性インフルエンザとCOVID-19はさほど差がないというか、むしろ季節性インフルエンザの方が多いからです(この点は小林よりのり著『コロナ論』(扶桑社、2020)(!)をはじめ様々な人が指摘しています)。

 

 e-Stat(統計で見る日本)の、統計名:人口動態調査_人口動態統計_確定数_死亡、表番号:5-29、表題:感染症による死因(感染症分類)別にみた年次別死亡数及び死亡率(人口10万対) のページを調べたら、「In504_インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)」の死者数は、2018年3325人、2017年2569人、2016年1463人、2015年2262人、2014年1130人となっていて、5年間の平均で2150人でした。『コロナ論』にも書いてありましたが、季節性インフルエンザは薬もワクチンもあるのに2000人以上の人が亡くなっているわけです。一方で、COVID-19による死者数は9月10日時点で1406人(厚労省集計)です。

 

 自殺で亡くなる人はさらに多く、2019年の自殺者数は約2万人に上ります(警察庁2020年3月17日)。10年前は3万人を超えていました。原因・動機別で「経済・生活問題」の人だけでも3395人もいます。来週にも決まる次の総理大臣には、COVID-19対策としての自粛の影響で勤め先が倒産したり雇い止めに遭ったりして、生活の困窮から自殺してしまう人が出ないような政策を実行してもらいたいです。