◆ 講談社
◆ 2010年5月10日発行
◆ 京極夏彦
いささかショッキングなタイトルではある。
でも。。。うちの会社のゲームおたくちゃんたちは、しょっちゅうこのフレーズを口にする。
とても聞きなれた言葉。
要するに誰も本気で言ってる訳ではない。
この小説の主人公健也も、そんな一人。
渡来健也、24歳の正真正銘のニート。
殺されたのは、鹿島亜佐美20代後半。
亜佐美が付きまとわれてる男から、通りすがりに助けた形になって知り合った2人。
文字通りのただの知り合いの亜佐美が殺されて、
亜佐美と関わりのあった人たちに亜佐美のことを訪ねて廻る健也。
①派遣先の会社の上司 ②マンション隣のアラサーの女性 ③亜佐美と付き合っていたヤクザ
④亜佐美の母親 ⑤亜佐美の殺人事件を取り調べた刑事 ⑥実は犯人だった健也の国選弁護士
健也の口調は最初とてもイライラする。健也も亜佐美のことを訪ねても自己弁明や自分の不満ばかりを口にする相手にイライラする。
相手の立場とか、お構い無しに矛盾を指摘する健也の言葉に、普段人に言わないけど頭に浮かぶことがある本音を思い出す。健也の言葉であぶりだされるそれぞれの心の底の想い。
そして、最後に「死ねばいいのに」と、つぶやく健也。
健也は言う。
みんな「死ねばいいのに」って言ったら嫌だっていう。人間って自分は不幸だ、嫌だっていうのに自分の人生に未練たらたらで、、それでもみんな生きている。生きるために生きている。
そんなふうに社会の中であがいてみるのも人間だから。
でも、亜佐美は違った。人から見たら悲惨な境遇なのに今が幸せだから、不幸になる前に死にたいと言った亜佐美。健也はそんな亜佐美が怖くなって殺してしまう。
殺した後も亜佐美のことがわからなくて、だから、何故彼女を殺したのかも解らない。
彼女に関わりのある人たちに亜佐美のことを尋ねて廻る。
健也に、罪を逃れたいと言う意識はまったくなく、自分が犯した殺人の意味を知りたかったそれだけ。
だから、最後に弁護士に「君は人殺しだと」と、言われて安心する。
もしかすると、人間の本性としての怠け者な部分を隠さずにいたとしたら、健也の生き方は本性のままに生きていて、とても正直なのかもしれない。
不条理。。。自分ではどうすることも出来ない状況。
自分を不幸だと思えば不幸だし、たいがいの人は、そんなに極端じゃなく生活しているんだけど。
自分の殻の中に満ちているものはなんだろう?
ふっと幸福だとか、不幸だとか、自分の心の中も覗いてみて、ちょっと怖くなる感じがした。
久しぶりの京極夏彦。
さすがの文章で、ひきこまれました。
後味は良くは無いけど、読んでよかったと思える本でした。