『千代の富士親方の身体の重さ』
1年程前のあるパーティー。お世話になった治療家の先生からのご縁で、夫婦で参加させて頂いたホテルの会場に千代の富士親方がいらした。
全盛期のウルフは、小さな身体で俊敏な切れの良い立ち回りで、自分よりも大きな力士をバッサバッサと倒していて、その小さな身体からは『軽さ』がみなぎっていた。
脳の司令塔が身体に連動している。いや、もはや身体が存在しない様な素早い軽さ。
そして、それから30年が過ぎた1年程前の親方は、パーティー会場でそこだけが大きな重い膜が張っている様な『重さ』のオーラに包まれていて、近付き難い雰囲気に圧倒された。
それは今思えば、膵臓癌の末期の辛さをグッと堪えた最期のウルフのダンディズムだったのだと思う。
重い物体としての身体を、持て余して、憤慨している様なウルフの表情。「俺はこんな事で終われない」そんな表情だったのだと思う。
その日から、数ヵ月で、天に召された。
最期まで、格好良かった。
