お菓子の国の女王様⑪ | 島村寺子屋まなび塾&ハポス治療院  公式ブログ

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国家資格の柔道整復師であり、心とからだのセラピスト歴28年のハポス田島があなたのつらい痛みを一緒に治して行きます。

あなたのその繰り返す痛みと辛さは???
自分自身に向き合う方法を、一緒に考えて行きましょう。

「小人たちを見たのはここです」
ヒューンは翼を広げ、指差すようにして地面を指しました。
リンの住みかを出ると、ヒューンは女王様の提案でかぼちゃのつるを足に巻き付け、森の上から小人を見つけた場所まで案内することになりました。
そのつるの先を女王様がつかみ、はぐれないようにするためです。
無事にヒューンが小人を見たという場所までくると、三人はそっと木の影に身をひそめました。
森の中と違い、すぐそこで木が途切れ、その先には海が見え、太陽の光が降り注いでいました。
「今は誰もいないようですね」
女王様が木の影から顔をのぞかせて言いました。
「そのようですね」
ヒューンもかぼちゃのつるをリンに外してもらいながら言いました。
「今のうちにラム酒を置いておいたらどうかしら?」
リンがからまったつると格闘しながら言いました。
「そうですね。そうしましょうか」
女王様は軽くうなずくと、袋からかぼちゃの葉とラム酒を取りだし、葉をコップのようにまるめて茎でしばると、その中にチョロリとラム酒をたらしました。
「どこに置いておけばいいかしら?」
女王様はラム酒が入ったコップを持ったままじっと海辺を見渡しました。
すると、水の中で何かが顔を出しました。
「あっ」
女王様は小さく声をあげました。
小人が魚を取るモリを持って海の中から出てきたのです。
「サカナはイタカ?」
「イナイ」
もう一人小人が顔を出し、答えました。
二人の話し方はまるでひとつひとつ決められた音をつなげてしゃべっているようで、感情がこもっていません。
「モウイッカイ、モグッテミヨウ」
二人はそう言うと、また息を吸い込み水の中に潜っていきました。
「今小人がいましたね」
女王様は足元のリンとヒューンを見て言いました。
「いましたね」
「いたわね」
二人は口々に言うと、ウンウンとうなずきました。
「小人が出てきた近くの土に、そのコップを置いておきましょう」
ヒューンが言うと、
「そうしましょう」
と、女王様はうなずき、辺りを見回して安全を確かめると、コップを小人が顔を出した近くの地面を手で掘ると、こぼれないようにコップを差し、土をかけて固定しました。
「さっき、小人は二人いたわ。二つ置いておいたほうがいいんじゃないかしら?」
リンはそう言うと、女王様が持っている袋に体ごと入り、かぼちゃの葉をひっぱり出しました。
「分かりました。もうひとつ置いておきましょう」
女王様はリンから葉を受けとると、同じようにコップを作り、その中にラム酒をいれました。
「女王様、早く!」
ヒューンが羽と足をばたつかせながら、女王様を急かしました。
「分かっています」
女王様がこれまでみたこともないほど素早く動き、あっという間に先程置いたコップの隣にもうひとつのコップを置くと、再び木の影に隠れました。
それと同時に、海から小人が顔を出しました。
「危ないところだったわ」
リンが小さくつぶやき、女王様の足にしがみつきました。
「気づきますかね?」
ヒューンが心配そうに木の影から小人をそっと見つめました。
小人たちは今度はモリに青く光る魚を差し、海から上がってきました。
「トレタナ」
「アア。ハヤクカエロウ。アノカタがマッテル。ハヤクシナイトシカラレル」
小人たちはモリから魚をはずすと、腰にぶらさげていた袋に魚を押し込み、服を脱いで水を絞り始めました。
その時、ちょうど太陽の光がラム酒に反射し、小人の目に止まりました。
「アレはナンダ?」
一人の小人が絞った服を着ると、コップに近づきました。
「ナニカ、イイニオイガスル」
三人がかたずを飲んで見守るなか、小人はコップを手に取ると、クンクンと匂いをかぎ、コップを口にあてクイと傾けました。
「オイシイゾ」
一口飲んで、小人はもう一人の小人に言いました。
「オレもノンデミヨウ」
それを聞いて、もう一人の小人も服を着ると、コップに近づき、ラム酒を口にしました。
「やった!飲んだわ!」
リンが小さな歓声をあげました。
女王様はじっと成り行きをうかがっています。
「ナンダか、からだが暖かくナッテキタぞ」
「オレもだ」
小人たちは顔を赤らめ、どこか定まらない目をしてふらふらし始めました。
「いい気持ちだ」
「気持ちいいなぁ」
二人の小人はそう言うと、土の上にバタリと倒れ、ガァガァとイビキをかいて寝てしまいました。
「どうなったのかしら?」
リンが羽を広げ、ゆっくりと小人たちの所へ近づきました。
顔の上にくると、リンは指で鼻に触れてみました。
最初は触れるとすぐに指をはなし、小人の体の脇に隠れていましたが、次第にツンツンと色々な所を触ってみるようになりました。
「すっかり寝てるわ」
リンが可愛らしくウィンクすると、女王様とヒューンもゆっくりと小人に近づきました。
女王様も二人の小人の体を軽く揺さぶりましたが、二人はいっこうに起きる気配がありません。
「闇の衣がはがれたのかどうかまだ分かりませんが、今のうちにしばっておきましょう」
女王様はそう言うと、ヒューンが足に着けていたつるを二人の小人の体を横に並べてクルクルとひとつにしばってしまいました。
「これで、もしこの小人たちが良い小人でなかったとしても安全です」
女王様はパンパンと手についた土を払い落とすと、
「あの木の影でこの小人たちが目を冷ますのを待ちましょう」
と言って、小人たちを引きずって森の入り口へと連れていきました。
「良い小人ならば良いのだけど」
それを見て、ヒューンが不安そうにつぶやきました。