お菓子の国の王女様⑤ | 島村寺子屋まなび塾&ハポス治療院  公式ブログ

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国家資格の柔道整復師であり、心とからだのセラピスト歴28年のハポス田島があなたのつらい痛みを一緒に治して行きます。

あなたのその繰り返す痛みと辛さは???
自分自身に向き合う方法を、一緒に考えて行きましょう。

「なんだこれは、不思議な味がするぞ」
「こっちの飲み物も、飲むとフラフラするぞ」
「なんだ、これは」
「なんだ、これは」
女王様は耳元でザワザワと話す声で目を覚ましました。
「ここはどこですか?」
女王様は軽く痛む頭をさすりながら体を起こしました。
「動いたぞ」
「動いたぞ」
女王様が目を凝らすと、土の地面の上に小さな光る何かが自分を取り囲むようにして立っていました。
女王様は少しの明かりでも目が慣れず、目を細めました。
よくよく見ると、人差し指の長さほどしかない小さな羽を生やした妖精が光の中心にいました。
どうやら光はこの妖精の体から発せられているようです。
その光は淡く、弱いものだったので、女王様は辺りの様子がまだ良く分かりませんでした。
「ここは土の中」
一人の妖精が、女王様の側へと歩み寄りました。
顔は幼く、まだ子供に見えます。
白いヒラヒラとしたワンピースをまとい、髪の毛を腰まで長く伸ばしています。
「私たちの仮の地よ」
顔つきは厳しく、にこりとも笑いません。
後ろにいる何十という妖精たちも皆おびえた顔をしています。
「あなたは誰?見たところ闇の衣に包まれていないみたいだけど」
「はじめまして。私はお菓子の国の女王です」
女王様は丁寧にあいさつをすると、親しげな表情を浮かべました。
妖精は女王様の顔を探るように見つめ、次に体を頭のてっぺんから足の先までじっと見つめました。
女王様はその間、にっこりと微笑んでただ黙っていました。
「なぜあなたは闇の衣から逃れることができたのかしら?」
妖精はなおも硬い表情のまま女王様に問いかけました。
「闇の衣とは何ですか?」
女王様は、子供に問いかけるように優しく聞きました。
「あなた、この島に来て寒くならなかった?」
「なりました。けれど、このラム酒を飲んだら体が暖まって寒くなくなりました」
女王様はそう言って、袋を手繰り寄せようとしました。
けれど、手が届く場所に袋はありませんでした。
「これのこと?」
「これのこと?」
後ろにいた妖精が五人がかりでラム酒が入った瓶を持ってきました。
「あぁ、それです。それがラム酒です」
「それは、闇の魔法をはねのけるためのものなの?」
長い髪の妖精が聞きました。
「いいえ、これはお酒です。体を暖めたり、心を暖めたり喉を潤すための飲み物です」
「けれど、あなたはもう寒くないのね?」
「そうですね。少しも寒くありません」
女王様は言葉通り、もう寒さが消えて元気になっていました。
「ふぅん。それで、あなたはここに何をしに来たの?」
「私は魔女を倒しに来ました」
女王様ははっきりと言いました。
「魔女を倒すだって」
「魔女を倒すだって」
「できっこないよ」
「できっこないよ」
妖精たちは皆口々に言いました。
髪の長い妖精も、
「そんなこと、できるわけないわ」
と言いました。
「出来なくても、私はやらなくてはならないのです」
女王様は力を込めて言いました。
「じゃあ、どうやって倒すつもりなの?」
「それはまだわかりません」
女王様は正直に言いました。
「わからないんだ」
「わからないんだ」
妖精たちがはやし立てるようにこそこそと話しています。
「分からないけれど、それでも私は王子を、皆を守らなければならないのです!」
女王様が立ち上がってそう叫ぶと、妖精たちはさあっと蜘蛛の子を散らすように女王様から離れ
、土の壁にあいた道へと逃げてしまいました。
女王様がいる場所は、まるで蟻の巣のように何本もの道がつながっていて、壁は全て土で出来ていました。
灯りは妖精の光だけで、妖精が逃げていった光でやっと穴の中が見渡すことができるほどでした。
今は足元に一粒の灯りが灯っているだけです。
「びっくりさせてしまってごめんなさい」
女王様は小さな声で謝りました。
逃げてしまった妖精たちは道の穴からそっとこちらをうかがっています。
「仲間たちは皆、魔女に光を奪われ怖がりになってしまったの」
髪の長い妖精は悲しそうにそう言いました。
「私も魔女をやっつけて、皆と一緒に日の光の元で暮らしたいの!」
髪の長い妖精はそう言うと、
「私と一緒に戦いましょう!」
と言って、女王様の目の高さまでフワリと浮かび上がり、手を差し出しました。
「はい。共に戦いましょう!」
女王様はその小さな手を親指と人差し指で優しくつかみ、しっかりとうなずきました。