フラワーエンジェル | 島村寺子屋まなび塾&ハポス治療院  公式ブログ

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国家資格の柔道整復師であり、心とからだのセラピスト歴28年のハポス田島があなたのつらい痛みを一緒に治して行きます。

あなたのその繰り返す痛みと辛さは???
自分自身に向き合う方法を、一緒に考えて行きましょう。

 小さな病院にある、日も当たらない庭のすみっこに、一輪の花が咲いていました。
花は病院と同じように小さく、真っ白な花びらを天に向けて精一杯広げていました。
そんなお日さまからも見放されてしまった小さな花を、いつも見つめている小さな女の子がいました。
女の子は、小学校に入ってすぐに原因のわからない病気にかかり、この病院にずっと入院していました。
もう半年ほどもお日さまの光を浴びることも出来ず、ずっとベッドの中にいました。
女の子は元気になるどころか、日に日に悪くなっていくばかりで、とうとうご飯も喉を通らなくなりました。
そんな時、女の子は庭に咲く白い花を見つけました。
花は、お日さまの光を浴びていないのに、必死に花を咲かせています。
女の子はそんな花を見るたびに私もお日さまを浴びなくても頑張らなくちゃと思うのでした。

 それから何日かたちました。
女の子がいつものようにベッドに横になったまま白い花を見ていると、突然風に乗ってかわいらしい小さな声が聞こえてきました。
「私の命はもう短いの。だからもうあなたに花を見せてあげることはできなくなってしまうわ」
女の子はそれを聞いて、すぐに白い花の声だと思いました。
その証拠に、風もないのに白い花はゆらゆらと女の子に向かって花びらを振っていました。
「白いお花さんはきれいな花を咲かせて虫さんや私を喜ばせてくれる。けれど、私はずっとここにいるだけで誰にも何もしてあげることができないの。だから白いお花さんが死んでしまうくらいなら、私の命をあげる」
女の子は涙をぽろぽろ流して花に向かって言いました。
花は、花びらをひらひらと横に揺らすと、
「ありがとう。でも、そんなことをさせるわけにはいかないわ。だってあなたには、あなたを大事に想ってくれる家族や友達がいるでしょう?今はずっとベッドの中かもしれないけれど、きっとすぐに良くなって私よりももっといろんな人を喜ばせることができるわ」
と言って、ぱったりといつものように何も話さない小さな花に戻ってしまいました。
女の子はしばらくの間涙を流していましたが、涙をふいて看護婦さんを呼びました。
「どうしたの?」
看護婦さんはいつものように優しい笑顔で女の子に言いました。
「ねぇ、看護婦さん。あのすみっこに咲いているお花をお日さまがうんと当たる所に連れていってあげて」
女の子は涙で赤くなった目を、またうるませて言いました。
看護婦さんは窓の外に咲く白い花を見つけ、すぐに女の子の目が赤い理由が分かりました。
「いいわよ。そしたらきっとあの花もすぐに元気になるわよ」
看護婦さんはそう言うと、庭に出て女の子の見ている前でそっと土を掘りおこし、細い根っこごと日のうんと当たる花壇の中に植えかえてくれました。
そして、女の子のところに戻ってくると、
「これでいいかしら?」
と、にっこりして言いました。
女の子もにっこり笑って、
「うん。看護婦さんどうもありがとう」
とお礼を言いました。
看護婦さんはじゃあねと言って女の子に手を振って女の子のいる部屋を出ていきました。

 その日の夜になりました。
女の子はぐっすり眠っていましたが、誰かに起こされたような気がして目を覚ましました。
そしてふと花壇の方を見ると、あの小さな花が月の光に照らされてぼやっと白い光に包まれていました。
それはまるで小さなお月さまがもう一つ花壇の中に現れたかのようでした。
女の子は目を丸くして花壇を見つめました。
小さな花は一瞬身を寄せるようにしてつぼみになり、しばらくしてやんわりとその花びらを開きました。
すると、そこには小さな女の子が一人うずくまっていました。
その小さな女の子は花の中で立ちあがり、白い光を発しながらすいっと女の子がいる部屋の前に飛んできました。
女の子がなんとか体を起こして急いで窓を開けると、小さな女の子はそよ風のように優しく音も立てずに女の子の部屋の中に入ってきました。
「こんばんは」
小さな女の子はぺこりと可愛らしくおじぎをして、起き上がった女の子の手のひらに舞い降りました。
女の子はベッドの上に座ったまま、手の中の光る小さな女の子をじっと見つめました。
「うふふ。びっくりしたかしら?私は花の精。今日の朝あなたとしゃべっていたのは私なの」
花の精はそう言っていたずらっぽく笑いました。
女の子はこの小さな女の子の正体が分かると、うれしさに心を躍らせました。
「花の精なんて初めて見たわ。なんてかわいのかしら」
女の子はそう言って、手のひらの花の精ににっこりと笑顔を返しました。
すると、花の精は少し照れたようにして、顔を赤くすると、
「ありがとう。私ね、あなたのことすごく好きになったの」
と言いました。
そして一呼吸置いてから、
「だからね、私あなたに元気になってもらおうと思っていいことを思いついたの」
とにこにこしながら言いました。
女の子は首を傾げると、
「なぁに、いいことって?」
と花の精に聞きました。
花の精は、何も言わずにふわりと宙に浮かぶと、くるりと一回転して光を部屋中に振りまきました。
「この光はね、私の命の元なの。本当は一度枯れてしまってもこの光が種の中に入って、また花を咲かせられるんだけど、この命の光を使ってしまうと、もう花を咲かせることが出来なくなってしまうの。でもこの光を浴びればすぐにどんな病気でも治っちゃうんだから!」
と、元気に言いました。
女の子はそれを聞くとびっくりして、
「そんなことしたらあなたが死んじゃうんでしょ?だめだよ、そんなこと……」
と言って、またぽろぽろと泣き始めました。
花の精はそれでもにっこりと笑うと、またくるりと一回転して、
「あなたは私のために命をくれるって言ってくれたじゃない。だから私の命をあげる。優しくしてくれたお礼だから」
と言いました。
女の子が手を伸ばして止めようとしても、花の精はくるりくるりとまわり続け、とうとう光の粒となって消えてしまいました。
女の子は、
「ごめんね、ごめんね」
と何度もくり返し、一晩中花の精が部屋いっぱいにしてくれた光の中で泣きつづけました。
 
 次の日の朝、お医者さんは女の子の体を見て驚きました。すっかり病気が治っているのです。
けれど、女の子はその事お医者さんからかされても、喜ぶどころかしくしくと泣いています。
看護婦さんが女の子に「どうしたの?」と聞くと、昨日の夜の出来事を話しました。
枯れてしまった花を見て、看護婦さんは少し寂しそうな顔をしましたが、
「お花さんはね、死んでしまったわけじゃないのよ」
と女の子に話しました。
「お花さんはね、消えてしまったように見えるけれど、あなたの中で生きているのよ。あなたのお母さんと同じようにあなたが子どもを生んで、またその子どもが大きくなって子どもを生めるようにしてくれたのよ」
看護婦さんは女の子ににっこり笑って言いました。
「分かった。お花さんは私の中で生きてるんだね。それなら私も頑張って元気でいる」
女の子は元気よくそう言うと、そっと枯れてしまったお花に向って手を振り、
「ばいばい、白いお花さん」
と言いました。
そして、
「これからよろしくね。」
と自分に向って小さくささやくと、にっこりとほほ笑みました。