不登校・引きこもり専門カウンセラーの田中勝悟です。
今回は別室登校から教室復帰に向けてできることについてお話をさせていただきたいと思います。
別室登校・保健室登校の違いとは?
別室登校とは、空いている教室を使って一日を過ごすことです。
また、保健室登校とは、不登校の子どもが保健室に登校して一日を過ごすことです。
これらの大きな違いは、
別室登校は空いている先生が勉強を教えたり、話し相手をしてくれたりします。
一方で、保健室登校は養護教諭の先生が中心となって、その子のケアをします。
似たような表現として、カウンセリング登校というものがあります。
これはスクールカウンセラーとのカウンセリングの時間だけ登校するというものです。
ハードルとしては、
カウンセリング登校<保健室登校<別室登校
という感じで、カウンセリング登校が一番簡単であること多いです。
私もカウンセリング登校のみの子のカウンセリングをした経験があります。
保健室登校や別室登校を実施していない学校もある
ただ、学校によっては保健室登校や別室登校を実施していない学校もあります。
これは学校の教職員の充実度や、行内体制、地域性などが絡んでくることが多いです。
その場合は、夜間登校やカウンセリング登校を使って、少しでも学校に行ける時間を確保できるように学校側と話し合って行くことが大切です。
少しでも家の外に出る機会を作ることが不登校支援にとってはとても必要なことです。
必要であれば、フリースペースや地域の適応指導教室を利用するのもいいでしょう。
保健室登校や別室登校の目的は?
ちなみに、保健室登校や別室登校の目的は何でしょうか?
それは教室復帰に向けての一歩につなげることです。
教室に行かなくてもいいから、せめて別室でもいいから学校に行ってほしい。
とりあえず、学校で勉強はしてほしい。
そういうスタンスでは利用しないこと。
焦りは禁物ですが、あくまでも教室復帰につなげるための第一歩として保健室登校・別室登校の意義を考えてください。
保健室登校・別室登校から教室復帰に向けての3ステップ
保健室登校・別室登校から教室復帰に向けては、次の3ステップが一般的です。
1) まずは保健室・別室で学校に行く習慣を作る
家にずっといると昼夜逆転するなど生活リズムが乱れがちです。
まずは遅れてもいいから家から出て学校に行くという習慣を作り直すこと。
子どもによっては、これができるまでに結構時間がかかる子どももいます。
ただ、他の子が登校する時間(8時~8時30分)は避けるなどの配慮も必要です。
また、授業が始まる8時50分までは、移動教室などで他の子も学校内を歩き回っていることも多く、9時過ぎくらいに登校する感じでいいと思います。
2) 休み時間等を使ってお友達と関わる機会を持つ
別室登校の利点は他のお友達と関わる接点が多いということ。
なので、休み時間などを使って、他のお友達と関わる機会がもてると良いでしょう。
ただ、無理やり合わせるのは禁物です。
不登校の子どもは非常に繊細なため、無理してお友達に合わせてしまい、その後過剰に疲れてしまいます。
「断ればいいのに」と思いますが、大人の表情や気持ちを察知してしまうために、「嫌」と言えず、無理して会い、気疲れを起こしてしまって、再不登校になる危険もあります。
表情や雰囲気を見ながら、無理せず、少しずつ慣れていく、強くするというスタンスが大切です。
3)終礼や学活など入れるクラス活動に参加する
少しずつ慣れてきたら、終礼や学活など、入れそうな活動に参加するように話をしてみましょう。
この段階まで来たら、おそらく毎日別室登校・保健室登校をしているはずです。
また、クラスのお友達とも会える時間が増えてきているでしょう。
ただ、ここでも焦りや無理は禁物です。
本人が「嫌、今は行きたくない」と言ったら、無理に連れて行かず、しばらく様子を見るというステップバイステップで進めることが大切です。
少しずつの教室復帰が大切
教室復帰はいきなりできるものではありません。
少しずつ少しずつがとっても大切なのです。
また、子どもが教室復帰できるかどうかは、結局のところ、子ども自身の問題です。
私たちはそれを応援することしかできません。
上記のステップは一般的なものであり、もちろんその限りではありませんが、別室登校・保健室登校を利用する際は、「ただ学校に行ってほしい」というだけではなく、「この子が将来成長するための第一歩だ」という視点で見ていただけると、より有効に活用できると思います。
室長:田中勝悟
