不登校・引きこもり専門カウンセラーの田中勝悟です。
今回は精神科・心療内科での多剤大量処方についてお話をしたいと思います。
多剤大量処方って何?
多剤大量処方というのは、簡単に言えば薬漬けという意味です。
精神科のお薬がかなり増えた状態です。
これは心療内科や精神科ではよく見られる現象で、最初は薬が抗うつ剤と吐き気止めしか処方されなかったのが、段々と薬の量が増えていき、気づいたら一日何十錠もの薬を飲まないといけない状態になっていたということも多々あります。
ただ、この状態は心療内科や精神科に行けば必ず起こるというものではありません。
昔の精神科では患者を薬漬けにするのが当然という考えでしたが、それは過去の話で今は少ない薬でどう患者を治療するかを考えるのが主流になってきています。
そため、多くの精神科医や心療内科は少ない薬でいかに患者が幸せになれるかを日夜研鑽しています。
また、多くの医師はどうすれば薬を減らせるかを考えて診察しています。
しかし、残念ながら、こうした薬漬け状態になってしまう人は出てきてしまがうというのが実情でもあるのです。
薬が増えると減らすのが難しい理由とは?
多剤大量処方になると薬の量を減らすのは容易なことではありません。
実は精神科・心療内科のお薬というのは、風邪薬なんかと違って簡単にやめることは難しいのです。
これは単剤処方(1つしか精神科のお薬を飲んでいない状態)についても言えます。
ちょっとした事例を紹介しましょう。
たった一種類だけでも、減らすのに半年くらいかかります。
精神科のお薬は、脳の状態をいじるお薬です。
そのため、お薬を急に減らすと脳のバランスが崩れてしまい、精神的に不調になってしまいます。
たった一種類だけでも、そうなってしまいます。
ある多剤大量処方で悩んでいる人は、「ジェンガのように、一つでも薬を減らすとグラグラと崩れてしまう。だから怖くて薬を減らすことができない」と訴えていました。
それくらい精神科のお薬を減らすのは容易ではありません。
1種類減らすのに、下手すると年単位の歳月がかかることも少ないのです。
多剤大量処方はなぜ起こるのか?
こうした多剤大量処方はなぜ起こるのでしょうか?
1つは、精神科医・心療内科医に問題がある場合、
2つは、患者自身に問題がある場合
が挙げられます。
精神科医・心療内科医もピンキリです。
初診では薬をなかなか出さないようにする医師もいれば、なぜ最初の診察で5種類以上のお薬を処方する医師もいます。
もし、最初の診察で3種類以上のお薬を説明なく出す医師がいたら、その医師は警戒したほうがいいでしょう。
それから患者自身に問題がある場合。
薬を飲めば何とかなると思ってはいけません。
薬は今の状態を改善するための一つのツールです。
そのため、上手に利用するのが一番の方法なのですが、中には「薬を飲めば何とかなる」と思い、不調のたびに「薬が効かない」と訴え続けると、医師は薬を増やす治療を続けてしまいます。
「もうしんどいから薬を増やしたい」と訴え続けた結果、入院しないと減らせないところまで増えてしまったというケースも結構見てきました。
薬に依存してしまうと確実に多剤大量処方、薬漬けの状態になってしまいます。
多剤大量処方を防ぐには?
多剤大量処方を防ぐには、患者自身が上手に精神科医・心療内科医師と付き合う術を身に着けることです。
そのためには、精神科・心療内科というのがどういうところかを知っておく必要があります。
その上で、体調が悪い場合には、こういう風に伝えるのが有効です。
「体調が悪いので、薬を見直してほしい」
決して、「薬を増やしてほしい」とは言わないこと。
また、今の自分の状態を伝えた上で、少ない薬の量でどうやって改善できるかを医師と相談するスタンスを持つことです。
そのためには、カウンセリングも有効です。
カウンセリングをして自分の状態を整理しつつ、その上で医師と上手に付き合うことが、多剤大量処方を防ぐ最大のポイントだといえます。
ちなみに、私は心療内科でカウンセリングをした経験もあり、減薬したクライエントも多数知っています。
室長:田中勝悟