不登校・引きこもり専門カウンセラーの田中勝悟です。

 

今回は引きこもりについてお話をしていきたいと思います。

 

 

引きこもりは甘やかされて育ったのが原因?

引きこもりは年々増えています。

 

また、それに関する塾や事業所が増えてきました。

 

引きこもりがここまで増えてきた背景として、「甘やかされたから」という意見もありますが、その意見は正しいのでしょうか?

 

正直な話、引きこもりになった人たちの話を聴くと、甘やかされたからという人もいれば、逆に厳しすぎたという人もいますし、放任主義の親だった場合もあります。

 

確かに甘やかされて育った人が引きこもりになるケースがありますが、中には普通に育てられたという人もいます。

 

人間って、問題が出てくると、「何が悪かったのか」というところに焦点がいってしまいます。

 

「これが間違いだったんだろう」と。

 

そのため、「親が甘いから引きこもりになったんだ」という目線で、引きこもりの原因を考えてしまうのです。

 

しかし、それが引きこもりの原因であるとは一概には言えないのも事実なのです。

「甘やかさない」=「怒る」なのか?

そもそも「甘やかされた」とはどんな状態なのでしょうか?

 

全く叱らない・怒らないのを甘やかしていると捉えるのか?

 

ちなみに、私は基本はあまり誰かに対して怒ることはほとんどありません。

 

原則、叱らない・怒らないで関わりますし、基本はお互いの意見の違いについて交渉し、素晴らしいやり方や方法が見つかるように進めていきます。

 

素晴らしい先生ほど、叱らない・怒らないで子どもを伸ばすことがとても上手です。

 

となると、叱らない・怒らない=甘やかすとは少し違うのではないかと思います。

 

もっと怒らないとだめだよ」という人もいますが、怒るということは人間関係を悪化させる可能性があります。

 

特に親子関係が悪化しており、会話がほとんどない場合は、怒ることは逆効果です。

 

もちろん、親子関係を断絶して、縁を切りたいと思っている場合は、思い切り怒っても良いかと思いますし、そうしないとダメな状態になっているケースもいるでしょう。

 

しかし、むやみに怒ることは引きこもりを悪化させたり、自傷他害につながるなど危険も多いので、独断で進めるよりも専門家に相談して判断していくことが大切です。

 

本当の甘やかしとは何か?

では、本当の甘やかしとはどんなものなのでしょうか?

私は子どもが自分でとるべき責任を全て奪うことだと考えています。

 

責任については日本選択理論心理学会の柿谷正期先生は、「相手の欲求充足のお手伝いをしながら、自分の欲求を満たすこと」と言っています。

 

これを私流に言うなら、「相手が幸せをしながら、自分も幸せになる生き方」でもあります。

 

この場合、特に「自分が幸せになる生き方」を学ぶ機会を奪うとどうなるでしょうか?

 

少し例えを出して説明しましょう。

 

例えばある人がお腹が減っているとします。

 

多くの人は食べものを恵むでしょう。

 

毎日、食べ物をたくさんその人に与えました。

 

しかし、食べものを恵めば恵むほど、その人は自分で探そうとしなくなりました。

 

逆にお腹が減ってくると、「なぜみんな食べ物をくれないんだ」と怒るようになってきました。

 

お腹が減っているかどうかというのは、その人の責任です。

 

空腹が満たされるという自分の幸せを得るためには、自分で行動を起こさないといけません。

 

代わりに食べ物を与えることで、空腹を満たすための行動をとらないといいけないという責任を奪ってしまえば、それは甘やかしと私は思います。

甘やかさないためにはどういう関わりをすればいいか?

上記の例は空腹ですが、いろんなことにつながると思います。

 

また、空腹で怒っている人に対して、「自分で食べ物を探して来いよ。甘えるなよ」と怒ったところで、「うるさい」と余計に反発してしまうでしょう。

 

では、どうすればいいか。

 

上記の例を進めていきましょう。

 

さて、ある日その人のもとにカウンセラーがやってきて言いました。

 

「一緒に食べものを自分で見つける方法を探そうよ。」

 

最初は、怒りだしました。

 

しかし、カウンセラーは「あなたが聴いてくれたら、良い方法が提案できるんだけどどう?」と返します。

 

しぶしぶ、その人はカウンセラーの話を聴くことにしました。

 

カウンセラーは、その人ができそうなことを提案しました。

 

その人が「無理だ」と言ったら、「じゃあ、やり方を見せるから、それでも無理だったら教えて」とカウンセラーは返します。

 

それでも無理だったら、別の方法を考えました。

 

そうした中で、ある日、その人が一人で食べ物をとることができた日はカウンセラーは「頑張ったね」と頑張りを認めました。

 

その人はうれしくなって、どうすれば自分で食べ物をとることができるかを一生懸命考えるようになりました。

 

上記の例は、もちろん架空の事例です。

 

しかし、引きこもりの人が前に出るために必要な関わり方がまとめられています。

 

大切なのは、その人がお腹がすいているのであれば食べ物を出すのではなく、食べ物を自分で得られるように一緒に考えていく姿勢です。

 

「自分で幸せになる方法」を考えて行動していけるように支えていくこと。

 

これが大切なことです。

 

叱らない・怒らない=甘やかす  

ではありません。

 

本当の甘やかしは、責任を取らせないことです。

 

自分で責任を持って行動する力をどう育てていくか。

 

これが引きこもりの予防や、引きこもり支援にはとても大切なことだといえます。

 

 

カウンセリングルームはぴっと

室長:田中勝悟

 

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