不登校・引きこもり専門カウンセラーの田中勝悟です。
今回は不登校改善のために一番大切なことをお話ししたいと思います。
親子関係が悪化した状態では改善は見込めない
何事もそうですが、良い結果を出すためには、良好な人間関係は必須です。
不登校や引きこもりの子どもを支援する場合、その子と良い人間関係が築けることが一番必要なことです。
例えば、学校の先生が家庭訪問に行っても、その子が全く会おうとしない場合。
そこから別室登校にしろ、夜間登校にしろ、学校に行くようにすることはかなり難しいでしょう。
逆に少しでも会えるようになってきたら、そこから別室登校に促していくことができるようになります。
これは親も一緒です。
部屋から一歩も出ず、親との会話が全くできない状態であれば、そこから学校や将来の話をするのは困難です。
考えてみれば当たり前の話ですが、人間関係が悪化している状態で、「これからどうするのか」を話し合っても、相手は聴いてくれないし、そこから先に進むことは非常に難しいのです。
不登校の改善の一歩は良い関係を築くこと
不登校や引きこもりで悩んでいるお父さん・お母さんに一番やってほしいことは、子どもとの良い人間関係を築く試みをしてほしいということです。
そのためには、子どもの今の状態を理解すること。
理解することは本当に大切です。
それができるだけで、親子関係は劇的に改善されます。
不登校の親の会では、そういった子どもの理解に焦点を置いて話をしてきましたが、それだけでもかなりの成果をあげてきました。
子どもが部屋から出てきたり、先生と会えるようになったり、別室登校に行けるようになったり。
逆に、「子どもをどうやって部屋から出すか」「先生と合わせるか」「学校に行かせるか」に焦点を当てて話をすると、改善はほとんどありません。
(ただ、これは原則であり、「どうやって部屋から出すか」に焦点を当てた方が効果のあるケースもあります。本当に稀ですが・・・)
北風と太陽の話そのままですね。
北風は「どうやって脱がすか」を考えて風を起こしますが旅人は全く脱いでくれません。
一方で、太陽は「どうしたら服を脱ぎたいと思うようになるか」を考えた結果、旅人は自分から脱いでくれました。
相手のことを理解し、相手に寄り添った対応をしていくことが一番大切なことです。
まずは子どもを理解し、親子関係を改善するところから始めてみましょう。
不登校の解決は学校に行くことではない
ただ、もう一つ考えたい視点があります。
それは不登校の解決は学校に行くことではないということ。
ただ、学校に行った方が子どもの成長ははるかに伸びます。
それは紛れもない事実です。
しかし、学校とは「子どもの成長を促すための一つの手段」に過ぎません。
「学校に行かなくてもいい」とまでは言えませんが、学校にこだわらず広い視点で子どもの成長を見ていくということもとても大切です。
すると、子どもの方からいろんなところからいろんな経験を仕入れてきます。
子どもの成長を登山に例えるとすれば、学校に行くことは整備された山道を行くことです。
しかし、不登校の子どもはあえて整備されていないところを通ります。
そこで親子関係が悪化した状態だと、子どもは山を登るのをあきらめてしまいます。
そこで立ち止まってしまいます。
しかし、親子関係が良好になれば、整備されていない山を登ろうと奮闘するようになります。
登り切れば、その子は学校に生き続けた子どもと比べて、多くの景色を見て、人間的に大きく成長しているはずです。
そこをしっかりと支えていくこと、応援していくこと。
それが不登校支援の本当にゴールだと私は考えています。
室長:田中勝悟
