不登校・引きこもり改善カウンセラーの田中勝悟です。
今回は自閉症スペクトラム障害と不登校の関係についてお話したいと思います。
自閉症スペクトラム障害って?
ひと昔前は高機能自閉症とか、アスペルガー障害とか呼ばれていたものです。
広汎性発達障害という名称でも呼ばれています。
精神医学の診断基準のマニュアルにDSMというものがあるのですが、数年前にDSM-5に改定されてから、自閉症スペクトラム障害という名称に変更されました。
ちなみに、診断マニュアルにはWHOが出しているICD-10という診断基準は広汎性発達障害のままになっています。
そのため、医師によってはどちらの名前でも診断されるので、そこらへんがややこしいところです。
自閉症スペクトラム障害は簡単に言えば、自閉症の傾向を持っている人全般を指します。
その中には重度の自閉症の人もいれば、知的に問題がない人、ごく軽微な特徴は持っているものの何ら問題ない人、その特徴のため仕事や学校生活に支障が出ている人。
もともとは知的に問題がある場合~知的に問題がない場合まで、それぞれに対応した診断名がありましたが、明確に分けることが困難になってきたため、スペクトラム(連続した)ものとして、一緒くたにまとめたものが自閉症スペクトラム障害という診断名です。
自閉症スペクトラム障害と不登校との関係は?
自閉症スペクトラム障害は不登校の原因としてどれくらい因果関係があるのでしょうか?
厳密に言えば、自閉症スペクトラム障害の子ども全員が不登校になるわけではありません。
また不登校の子ども全員が自閉症スペクトラム障害の傾向を持っているわけではありません。
(この視点は重要です。)
しかし、一方で自閉症スペクトラム障害の特徴を持っている不登校の子どもも存在します。
(ここも重要なところです。)
こうなってくると、不登校の傾向とともに自閉症スペクトラム障害の特徴も持っていることになるので、対応の仕方が若干変わります。
自閉症スペクトラムの子どもの不登校の支援の仕方
とはいっても、支援の流れについては、一般の不登校の支援のやり方とほぼ同じです。
まずは子どもの理解です。
何度も繰り返し言いますが、子どもの理解がなければ、不登校の解決はほぼできません。
ただ、そこに発達障害の特徴を加味していかないといけないということ。
できれば病院に行って心理検査や知能検査を受けてみることをお勧めします。
そこで子どもの状態について客観的に理解してみることが大切です。
発達障害の概念は、「この子は発達障害だ」とラベリングするために行われるものではありません。
子どもの生きづらさを理解するツールとして利用するためにあります。
もし、この子が人間関係のルールを理解するのに少し工夫がいるのであれば、それを考えて教えていく必要があります。
また、感覚過敏なところがあれば、少し静かな環境等で過ごすなどの配慮がいるかもしれません。
こだわりがあるのであれば、そのこだわりとどう上手に付き合うかのトレーニングも必要です。
見通しが持てない子であれば、事前に伝えることで行動がしやすくなるでしょうし、耳からの情報がなかなか理解できない子であれば視覚的に伝えることで理解しやすくなります。
上記は、自閉症スペクトラム障害の子の特徴の一部ですが、こうした配慮や支援をするためのツールとして診断名を活用すると良いでしょう。
そして、それを活用した上で不登校の支援に活かしていくことが大切です。
大事なのは発達障害という診断名に振り回されないこと
大事なことは発達障害という診断名に振り回されないことです。
「この子はADHDだから」
「自閉症スペクトラム障害だから」
「知的障害だから」
と障害名にとらわれ続けると、不登校の支援はまずできません。
それよりも子ども自身をしっかりと理解すること。
不登校の原因は、繊細さと生きる力の弱さです。
だからこそ、生きていくためにはこの子には何が必要かという視点で関わり続けることが大切です。
障害名は子どもを理解するためのマニュアルのようなものだと思っていただけるといいかと思います。
後は子どもの状態や様子から少しずつ理解を深めていき、その子が前に進めるように支援をしていくこと。
これが一番大切なことだと思います。
室長:田中勝悟
