「ほんとうの花を見せにきた」 桜庭一樹 著
東京から岡山までの新幹線で一気読みしてしまった。
とても心に残った。
ネタバレあるから注意!!!
ある一人の男の一生の物語。
そしてそこに関わる不思議な存在バンブー(妖怪)
いびつな形の家族。
生きるってなんなのか。生きてるってなんなのか。
仲間って。家族って。なんだろうか。
巡っていく人生、運命、歴史。
バンブーたちが素敵。命そのものって感じで。
読んでいて何度も胸が熱くなって涙をこらえた。
読みながら、ふと「足がなくて不安」を思い出した。
こちらも一人の男の物語。
「足がなくて不安」では幼少期に出会った存在が
いつの間にか生きる意味になっていて
でもその大事な存在を忘れていて
それが何なのか思い出す過去への旅をした。
「ほんとうの花を~」でも幼少期にバンブーに出会い
生活を共にし、別れを経て。
自分の事を忘れないでという男にバンブーは
「忘れないよ。でも人間の方が僕たちを忘れるよ」
それでも「いいや!忘れるもんか!」と答える男。
そして長い時を経て再び出会った瞬間、
咄嗟に気付けず、名前が出てこない。
誰だろう、確かに一緒に過ごしたのに。あんなに楽しかったのに、と。
妖怪たちの言う事は正しかった。
忘れていたのは自分の方だった。
もうね、凄く切なかった。
やはり人間は忘れる生き物だ。
新幹線で帰りながらだから、
田舎の景色、懐かしい景色を見ていて。
子供の頃の記憶ってやはりどこか特別で大切で
忘れたくないなぁって。
私が地元に帰るのは忘れたくないからかもしれない。
実家の近所を歩けば思い出が沢山転がってる。そこかしこに。
この側溝はバランス取りゲームしてたな
ここにタンポポ咲いてたよな
ここの木もっと大きく見えてたや
この小川が好きだったな
バレないように近道した所だ!
友達の家なんか、その子と遊んだ思い出や
付随して沢山の出来事や友達の顔が思い出される。
同じ公園でも、それぞれの年代での思い出がある。
幼稚園や小学校なら鬼ごっこ、かくれんぼ、木登りとか
中学生ならブランコで友達と夜遅くまで話してたなとか
楽しかったことも嫌だったことも沢山詰まってる。
ほんと、歩けば昔の私が、友達が、景色が
ゴロゴロ散らばってる。
私は二十歳で上京したから。
一番キラキラしてる、無敵で馬鹿やってた青春時代までを
地元で過ごしていて。
これが今も実家にいて、地元で就職して、、、
ってなると景色の見え方も違うのかもしれない。
懐かしさを覚える事はあっても、普遍的な景色だったのかもしれない。
だから、二十歳で離れて一番宝物のような時期しか
詰まってないから、こんなにもキラキラして懐かしくて
大切で、切ないのかもしれない。
あの歳で上京して良かったな。
そんな思い出も景色も忘れたくないから。
写真も沢山撮るし、散歩するし、なるべく帰りたい。
街の景色は本当にすぐ変わる。
何度も目にしていた筈なのに
更地を見て、以前何があったか思い出せない。
大切な風景だった筈なのに。
とても悲しくなるしモヤモヤする。
全部全部、抱き締めておきたい。
「ほんとうの花を~」を読んで、
人生ってなんだろう、生きているってどういう事?
幼少期の記憶って特別よね
幸せってなんだろう
って「足がなくて不安」をやった後っていうのと
帰省の最中だったことも相まって
色々考えたし感じたよ。
なんだか全部言葉にして伝えたいけど難しい。
結局は私の中の記憶だから。
私は目の前に情景を思い浮かべられるけど
それを届けるのは限界があるから。
だから、皆もそれぞれの故郷でも思い出の場所でも
今の場所でも。
大切な人や景色を浮かべてみて。
散歩してみて。
あ、良かったらこの本も読んでみて。
心に残る小説だから。
私は文庫で持ってるんだけどこの表紙からは
想像つかない内容だよ(笑)

