【第二十二話】
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前回のあらすじ
ポントの咥えていた髪飾りを見て飛び出したヴァイト。ヴァイトを追って転移魔法で追いついたミンシア達。合流したミンシア達はマーラの行方を知るポントの後について、マーラを探しに行くことに。
男が3人倒れている。すでに息はないようだ。
「こいつらは?」
「見るからにマーラを助けた・・・って感じはしないわね。」
見た目で判断するのは良くないが、ボロボロの服といい。それに見合わない宝飾品といい。どう見ても盗賊の類だ。
「みんな一撃で倒されている。相手は相当の手練れだな。きっと。」
「金の腕輪や指輪がそのままという事は、仲間割れや物盗りでもなさそうね。」
ヒューラが腕を組みながら、冷静に3人の男の亡骸を分析する。ヴァイトがサラリとその亡骸の様子を探っておもむろに立ち上がり周りの様子も見回す。そして、小屋の中を見るために扉をくぐって入って行った。3人もその後を追いかけた。
小屋の中も荒らされた形跡はなく、変わった所と言えば、テーブルの上に置かれた紙きれにナイフが突き立てられていることだ。ネルセンが紙切れをのぞき込み読み上げる。
「女の身柄は預かった。生きて返してほしければ、ミンシアを一人で牙城山の木こり場まで来させろ。期限は明後日の蓮の刻までだ。・・・これって、どうするの!」
ネルセンが顔を上げて、意見を求めるようにみんなの顔を何度も見回した。
「今すぐぶっ潰す!」
バッと扉に向かって駆け出そうとするヴァイト。
「ちょっと待ってヴァイト!」
今すぐにでも牙城山へ飛び出していきそうなヴァイトを、ミンシアが扉の前に立ちはだかって止めた。
「相手が何人いるか。どこの何者なのか。何もわから無いのに何の考えもなしに動くのは、相手の思うつぼよ。気持ちはわかるけど・・・ここは抑えて。」
ヒューラが気持ちをなだめるようにヴァイトの肩に手を乗せた。
「チッ! そんなのわかってる!」
ヒューラの手を避けるかのようにヴァイトは後ろを向いてテーブルに向かい、バンッ! と右拳でテーブルを殴った。その様子を眺めながら一つ頷くと、ミンシアは静かに、でも揺るぎない意志を込めて言い放った。
「僕が行くよ。」
「何言ってるの! あからさまな罠じゃない! 行かせられるわけないでしょ!」
ミンシアの言葉にヒューラが激しく抗議した。
「俺も反対だな。ミンシアが行ったからって、相手がマーラを素直に返してくれる保証はどこにもないし。」
「だからって見殺しにはできないよ。」
「それはそうだけど・・・」
ネルセンが言葉に詰まりつつも、ミンシアを心配そうな目で見つめる。その気配を察してミンシアが言葉を続けた。
「僕は大丈夫。大丈夫だから。もともと僕の問題だし・・・」
「ミンシア。」
ヒューラが心配して近づいて来るのをミンシアが両手で押さえる。そして、ヒューラの両手を握りしめて。
「大丈夫だから。」
と念を押した。
バンッ! ガタガタ! ゴロン!
それまで黙って聞いていたヴァイトがテーブルを叩き上げた。
「オレも行く。マーラは俺の妹だからな。ミンシア、お守り代わりにもならんだろうが、これを持っていてほしい。」
そう言ってヴァイトはマーラの髪飾りをミンシアに手渡した。ミンシアは無言でそれを受け取って小さく頷いた。
「ヴァイトが行くと余計ややこしくなるでし・・・」
「大丈夫だ。そのくらい俺にだってわかる。」
ヴァイトはスーッと大きく息を吸って、フーッと思い切り吐いた。そして、両手でバシバシと顔を叩いて、ヒューラを真剣なまなざしで見つめて言った。
「俺を信じろ。」
ヒューラはヴァイトのまなざしを受け止めて、ふうと一つ息を吐いた。
「二人で行かせるわけにはいかないでしょ。結局みんなで行くことになるのよね。」
そう言ってあきれ顔を見せながら、ミンシアに向かって両手を広げてみせた。
「作戦を練ろう!」
ネルセンがヴァイトによってひっくり返されたテーブルを元に戻して、袋の中から地図を取り出して広げた。みんなでテーブルを囲み、お互いの顔を見合う。
「必ずマーラを救い出す!」
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