結婚式場に高額なカメラを持ち込むことのないようにと、ある結婚式場がチラシを配布したそうだ。その理由は、プロ撮影業者が「友人です」と詐称し、入り込んで撮影することで、当該式場と契約した公式カメラマン・撮影・映像企業に不利が生じる。そうした主旨であるようだ。
詐称行為はよくないが、身内にプロのカメラマンがいるのなら、その人に撮影してもらうことは「別にいいじゃないか」というのが一般認識だろう。
堂上もその通りだと思う。式場側もビジネス上で譲れない点はあるだろうが、あまり世間の認識とかい離しないほうがいい、と思う。
ネトラボさんの記事
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1704/28/news008.html
すべての持ち込みに関する基本的な考え方としては、堂上はいずれフリー化すべきだと考えている。たぶん、現在のすうせいをみていれば、いずれそうなる。
現在は10年前と違って、各式場もかなりこの分野においては柔軟な姿勢を取るようになってきているからだ。
たとえば衣装やフラワーにおいても、独占禁止法に違反とまでいかなくても、グレーゾーンですらならないよう、またコンプライアンス上の取り組みとしても、ユーザーが複数の衣装店・フラワー企業から好みのアイテムを選べるようにしているのだ。
そして今回のカメラマンの詐称による持ち込み。
詐称であるならば、それはもちろんダメだろう。
しかし仮に、新婦のお父さんがカメラマニアで、幼いころからずっと新婦を撮り続けているとすれば、それに対して「はい、持ち込み料10万円をいただきます」は、一般市民の感覚としてはありえないはずだ。それでも、いまだに契約カメラマンや撮影企業との契約により、それを実施している結婚式場もあると聞くから驚く。
どうかそんな消費者不在の結婚式場を選ばないように、新郎新婦の皆さんにはお伝えしたい。
「21世紀の日本で、それはないでしょう」とコンプライアンスに対する姿勢が問われるというものだ。
しかしその一方で、以下のことは、新郎新婦の皆さんにもぜひ知っておいていただきたい。
・料理を提供する飲食動線をさまたげる撮影行為
※アツアツの状態で手際よく各テーブルに料理を届けたいのに、それをフラフラ酔っぱらったカメラマニアのお父さんや叔父さんが邪魔する。これは大切な料理を落としてしまうことにもなりかねず、それを気にするだけでサービスマンの動きがけっこう制限されるのでNGだ。
・演出動線をさまたげる行為
※これもまた、酔っていなくても、式場側スタッフは、ゲスト演出者などとの交錯が気になるものだ。
・新郎新婦が依頼した、式場オフィシャルのカメラマンのフレーム内にいて邪魔
※これは公式カメラマンを依頼した際に、そのカメラマンの射線上に、必ずといっていいほど、カメラマニアの人が写るという話だ。全体の3分の1に、そのカメラマニアが写り込んでいたと、あとになって憤慨する新郎新婦もいるほど。
・写真などの成果物(後に残るもの)の商品に対するクレームは、実はとても多い
※したがって、式場側はより慎重に神経を遣ってクレーム発生がないように
万全の体制を採りたいのだ。
これらの理由が、実は身内と詐称して入り込むカメラ業者にもあてはまる。式場公式カメラマンでは、「次はこんな演出だから」と、ポジショニングがわかっているから、上記のような邪魔をすることはないのである。
ウエディングにおけるサービスオペレーションは、その式場のパフォーマンス評価にもつながるので、実に神経質にならざるを得ない。そんな事情があるのだ。
とはいえ、やはり「人に持ち込み料をかける」という行為自体が、一般の理解は得にくい。だから賢い式場は、身内詐称とうすうすわかっていながら「事前にカメラマンさんにはリハーサルに参加していただきます」と、普通のゲストより2~3時間早く会場入りしてもらって、宴会キャプテンと司会者と「この場面はこうだから、ここにいてください」などのレクチャーをする会場もあるくらいだ。
一方、専属カメラマン、あるいは専属の撮影・映像会社と提携するのは、かつてはその式場が開業する際に、建築費の一部を負担することで独占させていた過去があるが、現在は独禁法上、グレーゾーンということで、そうした契約をする式場も減少する傾向にある。つまり提携はするが、契約期間は2~4年間で、その後は再度オーディションを行うなど。
時代のすうせいは間違いなくユーザーオリエンティッド、ユーザーファースト(消費者第一優先)の方向性なのだから、それに早く対応できた企業・式場が、最後に生き残るといえるだろう。