昨日紹介した「やめてほしい演出」だが、会場側が新郎新婦の暴走を止めきれない、ということで発生する演出の悲劇もまた存在する。
これは、「自己チュー型カップルにおける迷惑演出」とでも呼べるものだ。
例えば音楽。いくら浜田省吾や矢沢永吉が好きだからといって、ハマショーや永ちゃんのBGMばかりだと、ゲストは引いてしまうものだ。友人・知人には受けても、年配者やには「???」である。
コスプレマニアな新郎新婦が、色直しでエヴァのシンジ(新婦)碇司令(新郎)の姿で登場したという週刊誌の記事を最近読んだ。
若いゲスト中心で立食形式のパーティならば、ありだと思うが、着席式で老若男女のゲストが揃う場では、この演出ではあきらかに外してしまう。
こだわりは大いに結構だし、それはふたりの個性を如実に表す。
しかし、過ぎたるは及ばざるがごとし、なのだ。
やり過ぎている感があれば、それは専門家としてプランナーが止めて、幅広い層にも理解できるよう噛み砕いた演出に昇華させるべきだ。
そしてもっとも大切なのが、その理由である。
なぜふたりがこのBGMなのか、コスチュームなのか。
ただ好きではなく、そこに強烈なふたりの想いやヒストリーがなければ、ただの自己満足に堕してしまう。その理由をきちんとゲストにもわかりやすいよう伝えてあげることも大切だ。
またプランナーもふたりだけを見ていないで、お父さんお母さんを見てプランニングしてあげてほしい。
先日話を聞いたニューヨークのトッププランナー、ミッシェル・レイゴ氏の例では、新婦のお父さんが仕事でいつも使っているトラックを入り口付近にコーディネートして、新婦の父親への感謝の気持ちを表した。
トラックに乗ったお父さんの姿は、街では知れ渡っており、地元の招待客もトラックが置いてあること自体はサプライズだったが、そのアットホームなコーディネートに拍手喝さいだったという。
こんな風に、視点を変えれば、そのふたりらしいネタはたくさん見つかる。
派手である必要もない。
素朴に洗練されたコーディネートでポンと置いてあげればいいのである。
いずれにしても、ゲスト満足を目指すべきプランナーは、新郎新婦の暴走にははっきりと「NO」と言って、それを止めなければならない。それがプランナーの仕事でもあると思うのだ。