「和(なごみ)のウエディング」や「sesame-wedding ウエディングアイテム」などの結婚雑誌を制作する㈱明-美の飯田美代子社長が、和婚本を上梓した。
堂上にとってジャーナリズムの“師匠”はふたりいるのだが、実は師匠のふたりは大学時代の同級生である。
ひとりはD先生といって、NHK解説委員まで務められたジャーナリズム界の重鎮で、雑誌・新聞を中心に400人の弟子を輩出した方だった。いまではこの弟子たちが各メディアの部長や取締役クラスとなっている。
D先生「堂上、お前はほんのちょっとの才能があるからといって、努力を怠っている。いまのままでは努力に勝る人にいずれ遅れを取るのは明白だ。お前の教育係を呼んだから、しっかりとその人のもとで学べ」と、同級生である飯田師匠を私の上司につけてくれた。
そういう事情で婦人画報社(現在のアシェット婦人画報)で「ヴァンサンカン」や「美しい着物」の編集担当者だった飯田師匠と出会ったのである。25年前の話だ。
この話を続けると長くなるので(笑)、飯田師匠の話に移る。
なにしろ着物雑誌を長年担当していたのである。
そしてその前は、美容業界でヘアメイクを教え、美容ジャーナリストとして朝日新聞などにも美容関連記事を連載していた。
2年前の話だが、ある大先生のパーティーが始まる前、そのホテルのロビーで師匠と堂上が打ち合わせをしていると、
「あら、飯田先生?」
などと声をかけてくる参加者多数(笑)。
ついには、それまで隣のソファで雑談をしていた着物姿のおばさんまでもが、
「飯田先生、どうもいままで気づきませんで失礼いたしました」
というではないか(笑)。
全員、地方の美容界では“先生”と呼ばれ、何人もの弟子を持っている方々だったが、そういうわけで打ち合わせどころではなくなってしまった。
なぜ、こんなまわりくどいことを語っているかというと、美容(ヘアメイク)と着付けを含む着物全般の知識がなければ、和婚は理解できないからだ。
うわっつらだけの和婚コーディネートはできても、基本やしきたりという大本を知らないから、応用が利かないのである。
つまり「どう崩せばいいのか(アレンジすればいいのか)」わからない。
例えば、その大本とはこんなことだ。
「そもそも、なぜ花嫁は、角隠しや綿帽子をかぶるのか?」
答えは「和婚 花嫁衣装&和の結婚式新ルール」に書いてあるが、和婚を望む花嫁のみなさんは、この質問をその会場のドレススタイリストやウエディングプランナーに聞いてみればいいと思う。
さらには「披露宴の途中で着なれない和装姿の新婦の気分が悪くなった」というケース。
飯田師匠「それはその会場の着付け担当が、バカみたいにぎゅうぎゅう締め付けて着つけるから。新婦は初めて着物を着るのだから、着つけの担当者か介添えさんが、適宜、ゆるめてあげればいい」。
しかし、そういう基本知識が会場側にないと、着付け担当者や昔ながらの着物姿の介添えさんも披露宴の最中にはスタンバイあるいは不在で、結果、顧客満足とは程遠い披露宴がまた1つ出来上がってしまうのだ。
本書はあくまでも花嫁向けに書かれた本だが、そういう意味からも、衣裳担当者やウエディングプランナー、そして学校でその人たちを教える若い先生がたにも一読してほしい本といえる。表紙のオビには、桂由美先生の推薦文。
「和婚 花嫁衣装&和の結婚式新ルール」
飯田 美代子 著 芸文社 版
2009年09月 発行 ページ 153P サイズ A5ソフトカバー 1,300円(1,238円+税)