いま、結婚式場探しに忙しいふたり。

とりあえずは、ウエディング雑誌を買って、ネットで検索して、という方法で、自分たちの希望する会場を探しているはずだ。


ところで、先日、あるネットメディアの方と話していて、興味深い話を聞いたのだ。

それは難しく言うと、メディア・リテラシーに関する話でもあるのだが、その中でもっとも知られていることのひとつに、

「写真は嘘をつく」

というものがある。

実は、今回は、広告表現の場合には往々にして嘘をつく、ということを言いたいのだ。一般投稿者の画像は、嘘をつかないか、というとそうでもないのである。事実の一部を切り取るのが写真・画像であるから、1点のみでは、真実の全ぼうは明らかにならない。


そうした前提条件のもとに、広告表現の写真・画像では、

「写真は嘘をつく」。

例えばこんなケースだ。


女性誌のグルメ特集で、美味しそうなスイーツがきれいな写真で掲載されていた。

どうしても食べたくなって、そのレストランに行ってみたら、写真で見たより、ずいぶん小ぶりな(笑)、食べ応えのないかわいい分量のスイーツだった。

実にありがちな話だ。


あるいは、こじゃれた雑貨店。店構えもカッコイイ。で、実際に行ってみると?

隣接する施設は、肛門医院(笑)。

ちょっと残念どころか、かなり残念な立地にある雑貨店が、雑誌の写真ではその“不純物”がトリミング・切り取られて、そのスタイリッシュな店構えだけで掲載される。

タイアップ広告での掲載でなくても、店側に遠慮して、雑誌サイドが自粛してしまう結果、こんな画像が世に氾濫してしまう。


つまりメディア・リテラシーとは、わかりやすく言えば、

「極端にこの写真タテ長だけれど、ひょっとして隣になにか写したくないものでもあるのか?」

「ボリュームタップリに見えるスイーツだけれど、よくよく見れば、他の写真のお皿とくらべれば、むしろポーションとしては小さい?」

という風に推理する、あるいは、発展して考える思考形態のことだと思う。


そこで、冒頭の、ネットメディアの方の話だ。

1つの雑誌の写真だけでなく、他の雑誌の写真と、あるいは、ウエディングネットメディアに載っている画像と比較する。そして、投稿画像や口コミなども検索する。そうすると、この結婚式場の宴会場には、残念なことに、中央に柱があることがわかったり、宴会場に付属するプライベートガーデンと言いながら、実は、そのガーデンが猫のひたいほどの広さであることがわかったりする。その上で、あえて、予算やプランの魅力、ふたりの希望する条件などを総合的に検討して、柱があることも、猫のひたいガーデンであることも、織り込み済みで下見に出かける。そういう新郎新婦は、その会場で現実の姿を見ても『アッハハハ、本当に猫のひたいだわ』『確かに中央の柱が邪魔だけれど、人数少ないからこっちのサイドだけて使えれば問題なし』というふうに、マイナス要素をマイナスのまま受け取らないので、契約に至る率が極めて高いのです」


つまり、新郎新婦は、事前に“真実の情報”を得て、“それ以下ではないこと”を確認できた安心感が、契約・申し込みに至らせているというのである。


であるならば、少なくとも業界用語でいう“成約率”を上げるためには、できるだけ透明性の高い情報を提供するほうが良いということになるのである。


少しくらいのマイナス要素があってもいいじゃないか。それを自社HPで流すほどでもないと思うが、メディアにはきちんと第三者の立場としてそのままの情報を流してもらった方が、いまの時代、成約率はあがるのである。


それとともに、新郎新婦には、「写真は嘘をつくことも往々にしてある」というメディア・リテラシーを身につけてほしいと思う。


これは実写らしいが…



婚礼ジャーナリスト  堂上昌幸BLOG-これは本物?