連日のように報道される不況関連ニュース。

先日も、あるホテルに取材に行った折、こんな会話になった。

「あまりに不況、不況とマスコミが報道するので、週末にレストランで1000円の料理を頼むところが、ついつい700円くらいのものをオーダーしてしまう自分がいる。行きすぎた不況関連報道はいかがなものか?」

というものだ。


いわゆる災害における二次災害、あるいは、風が吹けばおけ屋がもうかるの逆で、一種の風評被害ともいえる状況がおきている。

事実の報道は必要だが、その一方で「ここ半年をしのげば、落ち着くと思います」みたいなプラスイメージの明るい方向性を指し示す経済評論家の論評も取り上げてほしい。


大手マスコミのみなさんも、これらのニュースは広告費削減という形で自分たちの首を絞めることになると気付いているはずだ。

そろそろ二次被害、風評被害を避ける論陣を張っていく時期ではないだろうか?


さて、こんな現代日本だが、ウエディングはどうか?

「不況だから結婚するの、よそうか?」

というカップルは、当たり前のことだが、いないのである。

愛の前に敵はいない。


しかし、こうした状況だから、ついつい保守的になってしまう。

それは生活防衛上、自然なことだが、財布のひもを本当に締める、あるいは収支バランスの観点から「もらえるものは、もらう」という姿勢が大切だと思うのだ。


例えば、

「こんなに不況だから、結婚式はこぢんまりとやるか?」

そんな風に考えるカップルもいるだろう。

その堅実な考え方は、長い人生において大切ものだ。


しかし、ちょっとだけ違うところがある。

その違いをちゃんと理解した上で、結婚式を行なっていただければと思う。

わかりやすくするため、極端な例を持ち出そう。


100人のゲストを呼ぶつもりだったが、30人まで削ったとする(あり得ないが 笑)。

ご存じのように、結婚式費用には、何人呼ぼうが必ず必要になる人数に関係のない費用と、

招待人数によって増えていく費用の2種類がある。


衣裳や、挙式料、挙式・披露宴ビデオや余興など演出アイテムが人数に関係のない費用。

人数によって増えていくのは、料理・飲み物、招待状などのペーパーアイテム、引き出物などだ。


この人数に関係なくかかってしまう費用は、新郎新婦や両家の負担分として、100人呼ぼうが30人に削ろうがかかってしまう。つまり戻ってこないお金だ。


ところが、招待人数に応じて増えていく費用は、ご祝儀というかたちで、当日に戻ってくるお金なのだ。


ゲスト1人あたりに、料理が1万、飲み物セットが5000円、引き出物・バッグに5000円、ペーパーアイテムに2000円、ゲストテーブル装花・クロス・ウエディングケーキに1500円かかったとしよう。計1人単価は2万3500円。(これ以外にもこまごまとした要素・数字はあるが、それを挙げていくことは今回の本論から外れるため省略する、という前提で以下に続く)。


仮に3万円のご祝儀を包んでくださるゲストが100人いた場合と、30人いた場合、それぞれの合計収入は、

必要費用100人×2万3500円=235万円  ご祝儀300万円

必要費用30人×2万3500円=70万5000円  ご祝儀90万円

となる。


このゲストにかかる単価とご祝儀だけの収支をみると、100人=+65万円、30人=+20万円となることがわかる。


もちろん、全員が3万円のご祝儀を包んでくれるとは限らない。また人数には新郎新婦や家族も含まれている。だから、くれぐれも予想額を過信してはなるまい。

しかし、これがご祝儀制パーティーの基本的な経済学でもあるのだ。

で、あるならば、+65万円のほうがいいに決まっている。


「人さまが包んでくださる額を推定するのは恥ずべきこと」

とは、私も思う。しかし日本の婚礼文化を大切にする一方で、その時代その局面にあわせ、若いカップルのみなさんがなんとか結婚式をしたいという想いに応え、現在の不況下から経済的な面からのアドバイスをすることは意味のあることだと思う。


結論「人数が多いほど、客単価は下がる」