宝塚に「ベルサイユのばら」という定番作品がある。最近のはほとんど見ていたないが、再演、再々演に限ってなら映像化されたものはだいたい見た。
独断と偏見で言うなら、90年代の雪組の杜けあき、一路真輝による「アンドレ、オスカル篇」の、一路が演じたオスカルが、「オスカル」の正解であったと私は思っている。
そう思ういちばんの理由は、セリフ回しや動きの「演技の型」がとにかく綺麗なこと。アンドレと二人で動く様は本当に決まっているから、ぜひ映像を見て欲しい。
たぶん再演のトップバッターをきるにあたって初演メンバーから、長谷川一夫氏直伝の「型」をきっちり受け継いだのだと思う。

あともう1つ。
主要メンバーの「ローズ」役は、オスカルの数奇な運命を理解しながら死なないで欲しいと願う難しいセリフ回しがあるが、この場面を陵あきのが演じたローズを見たとき、私は正解の演技と思った。(ちなみにこのときのアントワネットは花總まりである。花總については、予想を裏切るものではなかったから逆に印象が薄い)
陵あきのは、当時私が好きだった香寿たつきがトップになった時に相手役にならないものかと期待したがかなわなかった二番手娘役である。


宝塚や歌舞伎は、同じ演目を繰り返しやるから比較する楽しみもあるが、映画やドラマに正解の演技なぞあるのだろうか。
たぶん、当たり役とかはまり役と呼ばれたドラマがそれに近いのだと思う。
正解の演技とは、前に書いた憑依したかのように演じる場合と違って、緻密に計算されておこるのかもしれない。
冷静にでも情熱的に演じる場面に遭遇した観客は幸せものだ。
私はめったに行かないが、音楽ライブも同じなんだろう。