仙台・手倉森監督、横浜FM撃破に「優勝争いに参加する準備ができた」

 J1第27節は24日に5試合が行われ、前節3位の横浜F・マリノスがホームで同5位のベガルタ仙台に1-3で敗れた。横浜FMは前半3分に小林祐三が先制点を挙げたものの、10分に角田誠、その2分後に柳沢敦に連続ゴールを決められ、後半10分にも赤嶺真吾に追加点を許した。
 以下は、試合後の手倉森誠監督(仙台)会見の要旨。

 相手は優勝争いをしている。そしてホームの試合になればなるほど、勝たなければならないというプレッシャーがあるだろう。そして、われわれのサッカーを警戒している。そうなったときに、われわれはどう戦っていけばいいのか。思い切ってやるだけだという話を(選手たちに)して、挑ませました。序盤、大きな展開を狙ったところを引っ掛けられて失点して、どうなることかと一瞬思ったのですが、その後、早い段階で同点に追いつけてゲームをコントロールすることができました。

 試合前、最少失点1位と2位の対戦で、いかに失点しないかというところが大事だと言っていたが、もし1点先取されても、相手は確実にブロックを組んでくるから、われわれの方がボールを動かせるんだと伝えていた。(失点は)早い時間でもあったし、慌てることなく前半のうちに引っくり返せたのが非常に良かった。うまく横浜FMの今の心理を突けたゲームを、選手たちはピッチ上でやってくれた。相手の嫌なことを先行してやり続けたことが、手堅さにつながったと思います。

 これで上位(4チーム)と勝ち点3を縮めることができた。優勝争いに参加する準備ができたという話を、今選手たちにしてきました。続けて勝って、何とか被災地東北のために優勝争いを続けて、希望の光になれればいいなと思っています。

――夏場に勝てなかったときと、どこが違うのか?

 ゲームをコントロールできるようになりました。堅守速攻、奪ってからの出方というところはわれわれのストロングポイントですが、イケイケにならず、ビハインドを使いながら、ボールを動かす時間を十分作れるようになってきたのが、今チームが成長している点だと思います。

――移籍後初ゴールの柳沢選手について

「今日は点が取れるのでは」と本人に言っていた。決めた後、ベンチに走って来て「取れました」と言っていました。松田(直樹)選手が亡くなって、うちのチームで一番心を痛めていたのが柳沢選手です。今日はマリノスじゃなくて、松田選手はお前のことを応援してくれるかもしれないよと、実は昨日話していました。

――赤嶺選手は、これで5試合連続ゴールですね

 1点取れれば、どんどん続けて取れるようになる選手だと思っていました。コンスタントに取り続けてくれている。大したものだと思っていますし、FWが点を決めることでチームは勢いがついていきますから、それを先頭に立ってやってくれている。チームとしては、夏場の9戦勝てなかったのを取り戻すには、もうこれ以上負けたくないという思いがチーム全員にあります。

取材協力:Jリーグメディアプロモーション
 
 
 
ヤナギ、初ゴールおめでとう!
 
ワンタッチのヘディングが、いちばん安心して見てられるっ(^-^)
 
 
Jリーグ27節が日産スタジアム(観衆2万3204人)などで行われ、前節、G大阪から勝ち点1をもぎ取って首位戦線にとどまった横浜Mが、同じくリーグNO1の堅守で5位と上位陣に食らいつく仙台をホームに迎えた。
 試合は前半開始早々、仙台のFW柳沢敦から横浜M・谷口博之が奪ったボールを小林祐三へ、これをゴール前で落ち着いて決めてマリノスが立ち上がりで先制点を奪う優位な展開となった。しかし、直後の10分、中盤でのプレッシャーをかけ損ねた隙に、仙台・角田誠に強烈なミドルシュートを決められ同点とされると立て直しする間もなく、2分後の12分、仙台がクイックスタートに出たところ、態勢を整えることができないまま、左サイドの梁勇基が中央を走りこんできた柳沢へ、中沢佑二が競ったが、柳沢に体をひねってのテクニカルなヘディングでゴールを決められ勝ち越されてしまった。
 シュートでは上回りながら、後半も、マリノスの持ち味でもある守備が乱れ、赤嶺真吾にゴールを決められ1-3と突き放されてしまった。勝ち点は51のまま、名古屋に抜かれ4位に。優勝戦線の正念場を迎えた。
 一方仙台はこれで、02年シーズン以来となる4連勝を果たして順位は4位と変わらないが、上位との差を詰め、優勝戦線への名乗りを再び上げた。赤嶺は5試合連続ゴールで12点目をマーク。仙台移籍後初ゴールを決めた柳沢は試合後「(1点まで)長かった。(被災地のみなさんと)共に戦うといつも思ってきたが、言葉だけでは意味がなかった。遅すぎた1点だが、これで仙台の仲間に入れてもらえるかな、と思う」と、控えめに話していた。
 「優勝争いへの準備になる1勝」=仙台・手倉森監督 マリノスのほうにホームのプレッシャーがある試合だった。先に失点してしまいどうなるかと思ったが、慌てることなく追いついたのが大きい。これで、優勝争いに参加できる準備ができる、そういう勝利となった。(柳沢には)試合前、きょうは取れるんじゃないか?と言って送り出したので、(本当にゴールを取った柳沢が)ベンチに来て、「取れました」と(笑)。私は日産の「クロスオーバー」に乗っていますので、これから上位陣をクロスオーバーしていきたいと思います(会見場笑いに)。
 
「したたかに、やられてしまった」=横浜M・木村監督 完敗でしょう。したたかに、と自分たちが言いながら、したたかにやられてしまった試合。ちょっとした油断、切り替えのまずさ、判断ミス・・・やられますねえ、それでは。選手もショックを受けてはいるが、ここで切り替えていけるかもサッカーだと思う。布陣は、自分が考えるベスト。誰かがいない、出ていない、という状況で負けるのが一番悔しい。
「すぐに追いつけたことがすべて」=仙台・角田 先に失点することがあまりないので立ち上がりの失点でどうなるかと思ったが、すぐに追いつけてよかった。(ゴールは)コースが一瞬あいたので思い切り蹴ったら、いいところに行ってくれた。早い時間にゴールを決めることができたのがすべてだった。仙台として、とても楽しいサッカーを」できたと思うし、これで上位に食い込んでいく実力も示すことができた。みんなの力を合わせて1試合、1試合、勝ち点を積み重ねていく。
コラム 「102ゴールの中で一番大事なゴール」-柳沢、1年1ケ月ぶりのゴールの重み
 マリノスのちょっとした隙をついて、仙台の攻撃陣がクイックスタートを切った。数分前、自分の手痛いミスが原因でチームに失点を与えた柳沢も、「(失点で)逆にみんな落ち着きますよ」と、ピッチで笑いながら声をかけてくれた松下年宏の一言ですでに気持ちを切り替え、「反撃の瞬間」に凄まじい集中力を見せ前線に走った。左サイドを突破する梁に、柳沢は、中沢と競いながらゴール前に駆け上がる。
試合後、難しく、また、スタイルとは違うゴールを「(中沢の)前に出ようとしたところ、ボールが少し後ろに来た。それが逆に素晴らしいタイミングを作ってくれたと思う。あまり記憶にないシュートで、感触が良すぎて、どう打ったのかが体に残っていないほど」と、勝ち越しゴールを振り返り、Jリーグ通算102ゴールの中でも、「今の時点で、一番記憶に残る、一番大事なゴール」と照れくさそうに言った。
 昨年、京都であげて以来となるゴールは、キャリアを重ねた34歳のFWにとってさえ、重く、意味のある1点となった。
 仙台に移籍し主将を預かってすぐに東日本大震災が起きる。まだ右も左も分からない中、ホームタウンが、東北が傷つく様子に、「何もできないむなしさばかりが募った」と話しながら、ボランティア活動に懸命に従事した。しかしチームが練習を再開する頃、右ひざが悪化し、手術を決断することに。結果も残せないまま、チームも、町も、困難に見舞われる中での離脱は、常勝チーム鹿島で、或いは日本代表で積んだどんな修羅場での経験よりも苦しかった、と話している。
 FWとしてゴールを奪うこと。仙台に、受け入れてもらうために何より必要だった「名刺」が出せない。「被災地のみなさんの分も」との熱い思いは持つほどに焦りも生まれ、8月の名古屋戦では、無人のゴールへのシュートさえ外してしまった。
 FWとして落ち込む柳沢の気持ちをフっと楽にしてくれたのは、尊敬するカズ(三浦知良)の一言だった。日本人FWとして(MF藤田俊哉も100ゴール達成)、カズ、中山、に続き、前田遼一と背中を追いかける憧れは、仙台でのチャリティマッチ、ACミラン戦で対面した際、名古屋戦でのシュートを「ヤナギ、ナイスシュート!」と笑って肩をたたいた。そして、「あれ?入ったんだよね」とさらりとジョークにされ、柳沢は「FWとして、人としての優しさが胸に沁みた」と明かす。
 日産スタジアムでのゲームで移籍初ゴールをあげたのも不思議な巡り合わせかもしれない。同世代で、ともに代表では仲間として、リーグでFWとDFとしての最高のライバルとして戦ってきた松田直樹選手の突然の死去で、また「死」に直面した。この日ピッチに入って、まず見つけたのは松田への横断幕だったという。
 「敵としても、味方としても思い出がたくさん詰まったスタジアムだった。(マツへの)横断幕を見て、一緒に戦っている、というまた新しい思い出をきょう作れた気がします。(自分でも覚えていないほどの好感触のゴールは)マツが、まだまだ頑張れよ、サッカーできるんだから、と教えてくれたからなのかもしれません」
そう話し、唇をそっとかみしめた。
 「4強」との勝ち点差は7あるが、ACL出場権を含めて上位陣の背中はしっかりととらえる1勝になった。
 「遅すぎましたが、これでやっと仙台の選手として受け入れてもらえる資格を得られた。今度は(ホーム)ユアスタで多くのサポーターの前でゴールを」 34歳のゴールゲッターにも、チームにも、新たな「何か」を生む102ゴール目。
(取材・文増島みどり)
 
増島さん、ありがとう!(T_T)