こんにちはおねがい今日も由希絵の『歴史の窓』へようこそ!

 

今日は前回の額田王のつづきを語りたいと思います。

 

弟の大海人皇子から強引に奪い取って妃にした額田王ですが、心までは奪うことができず、中大兄皇子も自分は額田から愛されていないと思い悩む日々を送っていました。(そりゃそうでしょうとも・・・プンプン

それを証拠にこんな歌を残しています。

「香具山は畝傍を愛おしと耳成と相争ひき神代よりかくにあるらし古もしかにあれこそうつせみも妻を争ふらしき」

(香具山は畝傍山がいとしくて耳成山と戦った。古代からそうであったのだから現代でも妻を奪い合う)

いやはや・・・勝手に三角関係にしたのは中大兄皇子だろうびっくりマークはてなマークとツッコミたくなります・・ガーン

 

月日は流れ、中大兄皇子は天皇に即位して「天智天皇」となります。

都を近江(今の滋賀県)に移し、天智天皇主催の狩りの催しが「蒲生野」という場所で開催され、そこには天皇家一家が参加することになりました。当然天皇の弟の大海人皇子も天皇の愛妾の額田王も参加しました。

そこで偶然、野の花を摘んでいた額田王と狩りをしていた大海人皇子が出くわしたのですびっくりマーク

しかも大胆にも大海人皇子は人目もはばからず、額田王を見かけると手を振りながら額田のもとへ近づいていき、言葉を交わし合いました。

ただそれだけだったのですが、その様子を見ていた人が狩りの後の宴会の最中に、天智天皇にチクるかのようにわざと「大海人皇子と額田王が秘かに会っているところを見かけた」とわざわざ言い出した人がいました。元々二人は別れた後も想い合っていると疑心暗鬼だった天智天皇は内心かなり不愉快でしたが冷静に隣に座っていた額田王に本当かどうか尋ねました。

 

額田は自分たちにやましいことはなく偶然会って言葉を交わしただけだと堂々と弁明し、また次の歌を詠んで、堂々と振る舞いました。

『茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る』

(夜が明けて茜色に染まった野を方々に行き来してかけまわっているあなた。私に向かって大胆にそんなに何回も手を振ってしまったら、野原の番人に見つかってしまうわ・・・)

野原の番人は天智天皇のことを指し、彼に見つかってしまったらあなたは危険な目にあってしまうという意味ですね・・・確かにびっくりマーク

 

それに対して大海人皇子も腹を決め、大胆な返歌を皆の前で堂々と詠みます。

『紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 我れ恋ひめやも』

(美しいあなたのことを憎いと思っているならば、どうして私はあなたのことをこんになにも恋しく思うというのでしょう。あなたは恋をしてはいけない人妻だというのに)

 

二人のあまりにも堂々とした態度とお互い披露した恋の歌に二人が元夫婦だったことを知っている周囲は凍り付いてしまいましたが、天智天皇は拍手をおくり、大人の対応で宴会の余興としてその場を治め、周囲もほっと一安心しましたが、天智天皇は内心穏やかではなく、心は煮えくり返っていましたムキー

 

(よくもわしに恥をかかせおって・・・大海人、許せぬびっくりマーク

 

元々天智天皇よりも大海人皇子の方が人望もあり、民や女性たちからも人気があったのでそういうコンプレックスや嫉妬心もあり、疎ましく思っていましたが、何せ政治手腕も優れており、表面上は天智天皇に従って政治を助けてきた功績から他の王族のように排除できずにいました。その理由がなかったからです。しかし、この大海人皇子と額田王の件からますます天智天皇の大海人皇子への疑心が深まることになってしまったのです。そして天智天皇の後継者と目されていた大海人皇子を徐々に政治的要職から遠ざけ、息子の大友皇子を重用するようになっていきました。

 

大海人皇子はこの仕打ちに耐えるしかありませんでしたが、額田への想いも相まって、ますます「臥薪嘗胆」の気持ちを強くしていったのです。

 

(次回に続く)