眼鏡をかけていなかったためよく見えなかったが、ほんやりと黒い塊が、天井からこちらを覗いているのが見えた。
何かが背中を這いずり回っているような感覚に襲われたが、恐る恐る眼鏡をかけて見てみることに。
すると、その姿がはっきりと見えた。
悲鳴を上げながら洗面所を飛び出したが、考えも特にないため、そいつの存在は心の中にしまっておくことにした。
そして帰宅して風呂に入る時、全身が映る鏡に自分の姿を映した。
ちょっと太ったかな…と思いながらふと斜め上の天井を見た時。
あいつがまたこちらを睨んでいるではないか。
ただし今回は、悲鳴を上げて洗面所を飛び出すという醜態は晒さなかった。
冷静になってそいつに話しかける。
「おいヘカトンケイル!」
「…………」
無視された。それもそうか。そいつは「話す」ということを知らないのだから。
だがしかし、そいつを観察していると、長い足の1本がピクッと動いた。
それを見たと同時に洗面所を素っ裸で飛び出し、寒さでまた戻り、服を着てからまた飛び出した。
近くにあったブロンズナイフを手に持ち、洗面所の天井に居座るそいつへ向ける。
スパァァァンッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
勢いよくそれを振り上げるも不発。
それもそうだ。身長が足りていない。
仕方が無いので私はそいつに執行猶予を与えることにした。
謳歌しろよ生命を!
まあ、簡単に言えばそいつはネルスキュラのちっちゃいバージョンですね。
もっと簡単に言えばちっちゃいクモ。
駄文小説っぽく書いてみた結果、長文に。
ブロンズナイフとは丸めた分厚い新聞紙のことです。
それではヘカトンケイルくん。
また、何処かで。(サマレコっぽく)