愛の詰まった本を読みました。


『あしなが蜂と暮らした夏』 甲斐信枝さん

キャベツ畑で青虫狩りをするあしなが蜂との出会いをきっかけに、その生態に興味を持ち
いくつもの巣が作られた納屋に通い始めます。

その観察眼と好奇心、集中力には脱帽です。
子供のように目をキラキラさせて
蜂たちを見つめる甲斐さんの姿が目に浮かびます。

女王蜂たちの巣作りや子育ての様子。
幼虫を襲う他の女王蜂やスズメ蜂との攻防
働き蜂の誕生など、蜂の一生が綴られます。

特に心奪われたのは、暑さを凌ぐ為のこの行為。
水辺で口に含んだ水分を
巣の部屋ひとつひとつに配り
その後巣の入り口に覆い被さり
羽をブルブルと震わせ風を送る。
母蜂の持つ知恵に驚かされます。

女王蜂が持つそれぞれの個性の違いが
巣作りや子育てにも表れるとあり
それもとても興味深く。
地道に観察した人ならではの言葉が溢れています。

母蜂を失った巣を持ち帰り
お刺身と砂糖水で幼虫を育てる様子も
驚きと共に、甲斐さんらしくて。


クマ クマ クマ クマ クマ クマ クマ クマ クマ クマ

『クマよ』 星野道夫さん

全てを知り尽くしているかのような瞳。
威厳に満ちたクマの表情のアップと共に
いつか おまえに 会いたかった
その言葉から始まる物語です。

子ども向けなので、わかりやすいシンプルな言葉。
雄大で美しい自然と
そこで暮らす生き生きとしたクマたちの姿。
この地とクマたちへの畏敬の念と憧憬
そして、深い愛情。

星野道夫さんの最期を知るだけに
それを予感させるような文章には
切なくもなりましたが
この本は、彼の世界が凝縮された一冊でした。


種を超えたたくさんの命が
同じこの時代に
それぞれの時間を共に生きている。

その事を忘れずに生きていきたいと
そんな風に思わせてくれた二冊の本でした。

愛の詰まった本は
心豊かで幸せな気持ちにしてくれます。




最後までお付き合いくださり
ありがとうございましたチョコ