ラッキーの過去世。


場所は、アメリカ。

同じく犬として生まれ、その時も捨てられて。

別荘地に遊びに来ていた人に、そのまま置いていかれたそう。


ある雨の晩、別荘地の空家で休んでいると、不良少年たちが

入ってきて、そこでお酒やドラッグを始めました。

ラッキーは、怖くて見つからないように隠れていました。

が、じきに一人の黒人の少年に見つかってしまい・・・。


その少年は、ラッキーの濡れた体を着ていた服を脱いで拭いてやり

食べ物を与えてくれました。

それが、少年とラッキーの出会いでした。


少年はその空家へ来るたびに、ラッキーに食べ物を与え

可愛がってくれ、ラッキーも心を開いていきます。

そして、次第にその少年と行動を共にするように。


少年たちは、その空家で酔っ払うと、憂さ晴らしに部屋の中で

暴れ始めます。

カーテンを引きちぎったり、家具を壊したり・・・。


そして、ラッキーにもクッションを咥えさせ、それを首を振って

振り回したりするのを見て、はやし立てて喜びます。

ラッキーは、少年が喜ぶ姿が嬉しくて、益々暴れまわります。

それは、段々エスカレートしていき、人を襲うようにまでなっていきます。


その少年の家庭環境は、複雑でした。

貧しい家庭で、母親と義父と暮らしていましたが

その義父は、とても暴力的な人で、母親はいつも傷だらけ。

少年も暴力を受けていました。


そして、ある晩、少年は義父を拳銃で殺害してしまいます。

自分のした事に恐ろしくなった少年は、ラッキーを連れて

例の空家へ逃亡します。

そこで、自らも拳銃で自殺をしてしまいます。


ひとり残されたラッキー。

少年を起こそうと、必死で前足や鼻先で揺すります。

『ジョークだよ』

そう言って起きてくれるのではないかと、クッションを咥え

暴れてみます。


とにかく、少年に生き返って欲しくて、

そうする事で、少年が生き返るのではないかと思って

ずっと暴れまわるラッキーでした。


そのうちに、警察が空家へ来て、少年を発見します。

ラッキーは、保護施設へと連れて行かれました。


保護施設でも、ラッキーは暴れまわります。

少年に会いたくて。

そうする事で、少年が生き返ると思って。


ラッキーは、矯正不能のレッテルをはられ、

最終的には、安楽死処分となってしまいました。


過去世のラッキーは、ひとり、淋しく死んでいったのです。

少年に会いたいと願いながら・・・。