あの日。

東日本大震災のあった3月11日。


家財道具の散乱する自宅を避け、避難した車の中。

ラッキーに異変が。

当時14才で、心臓に持病があり投薬治療中。

呼吸も荒く、意識も朦朧とした感じ。


素人目にも危ないと判断し、すぐさま動物病院へ。

とは言え、あの大きな地震の後で、停電も。

とりあえず、近場の病院から。


1軒目、留守。

2軒目、留守。

絶望の中、3軒目。ここは、いつものかかりつけ。

病院は閉まっていたものの、自宅玄関へ伺うと

快く迎え入れて下さいました。


いつもと全く同じ診察室。

まるで、地震など無かったように。

いつでも急患の受入が出来るようにと

ここだけは真っ先に片付けたそうです。

・・・ここが、かかりつけで良かった。

心からそう思いました。


停電の中、懐中電灯の灯りの下。

レントゲンも撮れず。

スタッフの看護師さんもいないため、私達が補助を。


診察台の上のラッキーは、ほとんど意識もない様子。

すぐに、点滴と投薬。

ダンナが片手でラッキーの頭を支え、

もう片方の手で酸素マスクを口に当て。

私と娘は、ただその体を優しく撫でてあげることしか出来ず。


そうして、1時間。

ラッキーの呼吸も落ち着いてきて、一安心。

でも、まだまだ予断は許さない状況。

再度の投薬。

先生は少し離れたデスクで見守っていてくださいます。

ラッキーの周りは、私達家族だけ。


ラッキーを見つめ、その体を撫でながら

様々な思い出が蘇ってきます。


モコモコの真っ白なぬいぐるみみたいだった子犬の頃。

初めての犬との暮らしで、知らないことだらけ。

マニュアル本そのままに、ちょっと厳しくしつけちゃったかな。

でも、文句も言わず、ちゃんと付き合ってくれたよね。


一緒に出かけた、たくさんの場所。

キャンプも川遊びも、楽しかったね。

同じ体験を重ねることで、どんどん絆が深まっていく気がして。

そして、どこに行っても、自慢の娘だったよ。


娘を出産して、初めて対面した時のラッキーの顔。

『なんだ、この生き物は!?』って、不思議そうな顔。

可笑しかったよ。

でも、すぐに守るべき存在と思ってくれた。

いつも娘を気遣い、実際に守ってくれたよね。

娘にとっても、ラッキーは特別な存在。


果てなく溢れてくる、たくさんの思い出。

その中のラッキーは、皆どれも、キラキラと輝いて。


でも、目の前のこの現実。

診察台の上に、横たわるラッキー。

夢であって欲しい。

心から、そう願っていた・・・。


動物の心を感じながら・・・はぴはぴな日常。