①のご夫婦の後に受診されたご夫婦。 

こちらは、ご主人が63歳で若年性アルツハイマーです。 

病状はあきらかなのですが、ハタメには気づかれにくいかもしれません。 

それは、ご主人の元々の性格が陽気だからでしょうか? 
冗談を言いながら、なんともうまく会話を成立させるのです。 


このご夫婦。 
奥様がご主人に対して、あからさまな態度で攻撃します。 
ですので、受診も夫婦別々です。 
でなければ、診察室は修羅場と化します。 
そして、ご主人は怒って帰ってしまいます。 
でも、すぐに忘れちゃうんですけれどね。

昨日も診察が終わり、奥様は近くのスーパーに買い物に行きたいご様子。 

会計を待ってもらうように頼みましたが聞き入れずに、大丈夫だから…と、ご主人とお金を置いて出て行かれました。 

その場は、ご主人も納得されて待合で座っていました。 


でも… 


そうです。 
いなくなったのです。 


ナースとふたりで探しましたが見つかりません。どうやら、奥様を探しに出て行ってしまわれたようです。 

クリニックの場所は覚えているので、そのうちに戻ってくるだろうと判断し院内に戻りました。 

そして、約10分後。 
血相変えた奥様に怒鳴られたわたし。 
一気にまくしたてられました。 

なんでちゃんと見ててくれへんのっ! 
買い物途中でこの人(ご主人)が来てビックリしたやんか!アンタに頼んだでしょっ! 

先ほどのこともあり、音もなく静かにキレ?ました。 


3オクターブほど低い声。←わたし(笑) 


奥さん… 
あたし、頼まれてませんよ。 
こうなること予測できましたよねー 
わたし、いて下さいとお願いしましたよねー 



あ… 



と言うような顔をされて、 


この人がおったらゆっくり買い物がでけへんから… 


と、弁明。 


呆れましたが気を取り直して会計をしていると、また、ご主人の悪口が始まりました。 

いつもなら時間の許す限りそれを聞きます。 
その愚痴を聞くのも、家族さんのストレス発散になると思うからです。 


でも、今日は聞けませんでした。 


奥さん… 
それがこの病気ですやん… 
それゆーたらご主人、気の毒ですわ。 
好きでなってるんとちゃいますよ。 
アホだのボケだの… 
ちょっと言葉が過ぎませんか? 


意識したつもりはないんですが、くだけた、はすっぱなモノの言い方になっていたようです。 


病院スタッフとしては、最低だと思います。 

…が。 



違うやろ、それ! 



ジャッジはするな…と聞きますが、いい悪いとかじゃなくて、なんだかとても切なくなりました。 



そのあとも、何故だか涙が溢れて… 

いやー 
アレルギーかなぁ 

なんて誤魔化しましたが、涙がとまりませんでした。

あーまた、院長に怒られるんやろなぁ…(汗)