海沿いを走るローカルバスに乗り、降り立った終点にあったものは、忘れ去られた飛行場でした。大日本帝国海軍大浦航空基地、ここは偵察用の水上飛行機の拠点でした。終戦時には13機の飛行機が配属されていたといいます。現在のブルーライン交通の油谷島バス停はかつて飛行場だった場所の真ん中にあり、バスが待機する場所も当時は駐機場だったようです。バス停の奥には、飛行機を海へと降ろす滑走台と兵舎が残されています。兵舎はツタが絡まり今にも倒壊寸前でしたが、滑走台は当時のまま放置されていました。滑走台の上に立ってどこまでも広がる海を眺めたとき、何とも言えない気分に陥りました。私が訪れたときはちょうど終戦の日の直後です。77年前の今日、海兵やパイロットたちはどんな思いでこの海を眺めていたのか。折り返しのバスが発車するまでの間、一人静かに感傷に浸っていました。

2022年8月17日撮影 ブルーライン交通 油谷島線