本作は、野菜畑氏の創作「はぴはぴチェリーブロッサム(はぴブロ)」の二次創作です。本人の了承を得て制作しています。

 

この作品はフィクションです。登場人物や地名などは架空のものであり、実際の物事、事実とは一切関係ありません。そして決して茨城県を馬鹿にしているわけではありませんのでご了承ください!

 

 

作者2にょんプレゼンツ。

 

 

ここは茨城県の東の海に浮かぶ島、「ネオ茨城」。毎回都道府県魅力度ランキング最下位の茨城県が、なんとか這い上がろうとしてあれこれ考えた末、茨城のなんか偉い人たちが「あっ!島とか作ったら注目されるんでねぇが?」「おめぇあったまいいなぁ~!」と、無理やり作った人工の島である。

このネオ茨城はかなり面積も広く、茨城県の住民の理想(ハイカラなやつ)を詰め込むべく、それなりにイイ感じの都市に設計され、イイ感じに都会になった。

島ができて50年。それからここには茨城の中でも屈指の、一癖も二癖もある連中が集う魔境となったのでした…

 

「うわあぁぁぁぁぁん!どうしよぅ~、学校遅刻しちゃうよぉぉぉぉぉ」

時計を見て、ベットから跳ね起きた。

僕の名前は強零召亜(きょうれいめしあ)。私立廻り花高校(マ〇ファナ高校)に通う、ちょっと気の弱い男子高校生。僕の枕元のデジタル時計は5月14日、火曜日の8:30を示している。朝の会まで10分しかない!ダッシュで間に合うかなぁ…

寝坊しちゃった理由は明白。今日は放課後に生徒会の集まりがあって、夜遅くまでそれに使う資料作ってて寝落ちしちゃったから。僕は生徒会の副会長だからこういう仕事はちゃんとやらないと。どれもこれも素敵なかいちょーのため…はっ!僕としたことが!僕なんかがかいちょーに好意を寄せるなんておこがましいねっ!とにかく早く家を出なきゃ...!

 

学校の昇降口に着いて、急いで上履きをはいてダッシュで廊下を駆け抜けた。朝の会開始のチャイムが鳴り響く。

「もうこんな時間なのぉ!?」

僕はスピードを上げた。運動が苦手なボクはすでに息があがっている…走ってる途中で廊下に運悪く校長先生がいて僕に何か言ったけどそれどころじゃないんだよぉぉぉ!校長先生ごめんなさあああい!

 

息を切らしながら勢いよく教室の扉を開けると、もう先生が話し始めてて、みんなが一斉にこっちを見た。

気まずいよぉ…

ニヤニヤしながら僕のことを見ている数名のクラスメイトをしり目に、そそくさと自分の席に座った。

恥ずかしい…!

『はぁ、朝からさんざんだなぁ…遅刻してみんなに笑われるし。』

ぼんやり考え事をする。

僕は窓の向こうの空を眺めながらこう思った。

『あーあ、今日この学校に不審者が入ってきて学校めちゃくちゃにならないかなぁ!』

僕は心の中でそう思った。いや、そう思って「しまった」のだ。

 

-1回目―

6時間目がやっと終わった!

今日は苦手な体育があって、さらに苦手な持久走があってみんなに抜かされまくって馬鹿にされまくったけど大丈夫!なんたってこれから生徒会の集まりでかいちょーに会えるんだもん!楽しみだなぁ…!

僕はルンルンな気分で生徒会室に向かった。いつも通り、生徒会室の前はすでに扉を開ける前から騒がしい。

「ほら子猫ちゃん、我の左腕に触れてはいけない…我の左腕には邪神が封じ込めてあって漆黒の…!」

「やみみさん、それ右腕ですよ。あと子猫ちゃんって呼ばないでくださいって何度もいってますよね!?」

僕は2人に気づかれないようにこっそり扉を開けて中に入った。つもりだったけど…

「おっ!キサマよく来た我が根城へッ!」

「こらーっ、ここはやみみさんの根城じゃないですよ!めしあさん今日は早めでしたね。」

あ~ばれちゃった…

やみみさんと呼ばれているこの中二病の男子は、僕と同じ2年生の暗闇沢闇々(くらやみざわやみみ)君。会計をしている。暗闇沢云々は彼の自称で、本当は違う名前なんだけど絶対に本名を教えてくれない。まぁ生徒名簿に名前あるから実は本名知ってるんだけどね…

そしてやみみくんに子猫ちゃんって呼ばれている女子は同じく二年生の白鳥沢美鶴(しらとりさわみつる)さん。書記をやっている。いつも眼鏡をかけていてすごく真面目。よく「漆黒の…」って言ってるやみみくんを怒ってる。(ちなみにやみみくんはいつも片目にどくろマークの眼帯を付けている。先生に怒られないのかなぁ…?)

この2人はいつも口喧嘩をしている。一周回って仲良さそうだからこの前「仲いいね」って言ったら、

「もちろん!子猫ちゃんは我の魅力の虜だか(ry」

「ちがいます。あと子猫ちゃんって呼ばないでください。」

って言っててよくわからなかったんだよなぁ。

そんなこんなでわちゃわちゃしてたら扉がガラッと開いた。部屋に吹き込むさわやかな空気。そして彼女の息遣いとともに揺れ動く艶やかなポニーテール。

あっ!!!

僕はその人を見て一気に心拍数が上がった。

かいちょーだ…!!!

うわあぁぁぁぁぁぁ何度見ても緊張するよぉぉぉぉぉ神々しいよぉぉぉぉぉぉ!!!

「みんなもう来てたんだ!遅れてごめんね。先生に仕事頼まれちゃってて…あっ!めしあ君もお疲れ!」

「あっ、おっ、お、お疲れ様ですぅ…」

うわあぁぁぁぁぁ話しかけられちゃった!もう人生に悔いなし…

かいちょーはそのまま、この学校の生徒会長。菊正宗鈴(きくまさむねりん)さんっていう名前。うっとりしちゃう…みんなかいちょーって呼んでいて、僕も例にもれずそう呼んでいる。

かいちょーは絵にかいたような優等生で、勉強もできるし運動もできる。特に運動はすごく得意らしくて、いつもいろんな部活で引っ張りダコにされて忙しそう。かいちょーは3年生だから会えるのは今年で最後。かいちょーがいなくなったら僕はこれからどうやって生きていけばいいんだろう…

「あれ?今日は小桃ちゃんとりっちゃんは来てないんだね。」

とかいちょーは言った。

たしかに、いつもはもう一人の会計の小桃さんと、かいちょーの兄弟の、1年生の律、通称りっちゃんが遊びに来るんだけど今はいないみたいだった。

かいちょーは

「まあもう少し待ったら2人とも来るかな。じゃあ5時になったら始めよっか!」

って言った。だからみんなで好きなことをして待つことにした。

あーあ、暇だなぁ…

美鶴さんとやみみくんはまだなんか言い合ってるし、かいちょーは資料をじっくり見ながらパソコンで作業している…ふと壁の時計を見たら4時44分だった。

『まだ15分くらいあるじゃん…なんか不吉な数字だなぁ』

そんなことを考えてたら入口の扉が勢いよくガラッと開いた。

みんなが扉の向こうを注視した。

『小桃さん?りっちゃんかな…?』

僕はそう思った。きっとみんなもそう思ったと思う。

かいちょーは作業をしていた手をとめ、顔を上げて

「おーい、おそかったじゃ…」

そう言いかけて口をつぐんだ。

なぜか。

 

そこにいたのは小桃さんでも、りっちゃんでもない。

目の血走った、ナイフを持った男だったからだ…

 

To be continued…