受動喫煙による急性影響は、環境中たばこ煙の粘膜への直接刺激と肺から吸収された煙によるものがあります。

眼症状:かゆみ、痛み、涙、瞬目
鼻症状:くしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁
その他:頭痛、咳、喘鳴、呼吸抑制、指先の血管収縮、心拍増加、皮膚温低下

  これらの症状や反応は、環境中たばこ煙を構成する副流煙が、各種成分の濃度が高く、アルカリ性のためニコチンが強く作用することによります。
常習喫煙者より非喫煙者の方が、反応が強いことも確かめられています。

これらの症状に加え、たばこ特有のにおいも協同して、他人のたばこの煙に対する不快感、迷惑感の原因となります。 

  また、近年の受動喫煙対策の進行に伴い、受動喫煙を規制する法的措置を実施した国や地域において、急性心筋梗塞等の入院や発生の推移を検討した結果、多いところでは4割程度、だいたい1-2割程度、急性心筋梗塞等が減少した、と報告されています。 

  さらに、IARCや米国IOM(医学研究所)等の総合的機関等において、受動喫煙と急性の循環器疾患との関係について、こうした個別の報告をまとめて検討したところ、
明らかに「受動喫煙は急性の循環器疾患との関連がある」との判断がなされています。

受動喫煙は循環器疾患の原因となることが確認され、さらに近年、受動喫煙曝露と急性心筋梗塞等の急性の循環器疾患との関連も認められています。 

  そのほか、妊娠・出産に関係し、低出生体重のほか、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因となることが明らかとなっています。 

妊婦の喫煙により、流産、早産、死産、低体重児、先天異常、新生児死亡のリスクが高まることが明らかになっています。また、出生後も、家庭内、特に母親の喫煙で、肺炎、幼児の喘息様気管支炎、学童の咳・痰などの呼吸器症状などが増加します。

(「喫煙と健康-喫煙と健康問題に関する報告書」EPA)

喫煙により引き起こされる、喫煙が原因となる妊娠・出産に関連した状態として、生殖能低下、妊娠合併症、胎児死亡、死産、低出生体重、があげられます。
このほか、子宮外妊娠、自然流産、口蓋裂の原因となる可能性があります。 
 
 妊娠中は、煙が直接胎児にふれるわけではありませんが、胎児は胎盤を通じて母体に繋がっています。つまり胎児は、胎盤と「へその緒」を通じてのみ外の世界に通じている、胎盤が胎児の「肺」のようなものだ、といえるでしょう。
また、喫煙は大小さまざまな血管を障害することからも、微細な血管の構造物である胎盤などが母体の喫煙によって障害を受け、引いてはその先にいる胎児に影響を強く及ぼすことも理解できますね。

  また、受動喫煙についても、出生体重低下や乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因となるだけでなく、その後小児期においても、親の喫煙により受動喫煙を受けることで、肺炎などの呼吸器疾患(特に母親の喫煙で影響大)、中耳炎、咳など呼吸器症状、肺機能の抑制の原因となります。
そのほか、早産や小児期のがん、喘息の原因となる可能性があります。 
(米国公衆衛生総監報告)

  さらに近年、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など子どもの発達と受動喫煙との関連を示す報告も出てきています。

今後さらなる研究が待たれるだけでなく、喫煙など意識して防ぐことのできる要素は積極的になくしていくことができるよう、知識をもって意識や行動を広く変えていくことが重要です。

【厚生労働省 タバコ最新情報より】