ドーナツ | ハーフの赤ちゃん

ドーナツ

       

アメリカのドーナツ (ちなみに左上にあるグレーズというのが妻のお気に入り)

          


妊娠を経験したお母さんたちは、妊娠中(または産後も)にどうにも食べたくなる食物があったと思う。 妊娠中は、つわりなどの影響もあり味覚が変わると言うが本当にその通りだった。 私の場合、妊娠初期は食べづわりがひどく、会社の机の引き出しには常に飴と軽いスナックを常備。 そんな私が妊娠初期にどうにも食べたくなった物は、オレンジとカーリーチートス(アメリカで売られているチートスがカールされているスナック)だった。 妊娠前はオレンジは嫌いではないが、特に好んで食べるほど好きでもなかった。 それが、妊娠して急に食べたくなり、気がついたらほとんど毎日のように食べるようになっていた。 同じように、カーリーチートスもそれ程好んで食べる方ではなかったのに、一度試しに食べてみたら何故か病み付きになってしまった妻。 一度、私の留守中に夫が内緒で食べ残しのチートスを全部食べてしまったことがあった。 それを見つけた妻は狂ったように夫に当り散らしたのだった。 妊娠中でホルモンのバランスが崩れたのが原因か、それとも食べ物の恨みなのか・・・。 妊婦を怒らせると後が怖い。 それからというもの、我家の戸棚にはチートスの袋が必ず2つは常備されていたのだった。   


さて、時は変わって妊娠後期。 妻があれほど狂ったようにむさぼり食べていたオレンジとチートスも時が過ぎると共に、自然と食べたい衝動も薄れていったのだった。 その代わり、また新たな食べ物に執り付かれてしまった妻。 それは、なんとドーナツだった。 妊娠前に最後にドーナツを食べたのはいつのことだったか・・・。 アメリカ人はドーナツ好きが非常に多い。 会社の朝のミーティングには3回に1度は大量のドーナツを差し入れする上司も少なくない。 日本ではドーナツといえばミスタードーナツというイメージがあるが、アメリカではその辺の道にそれ程有名ではないが味はいけてるドーナツ屋さんがゴロゴロある。(注:妊娠して初めて気づいた) ある時、例のごとく私の上司が朝のミーティングにドーナツを差し入れした。 ドーナツなんて油の塊だし、カロリーも高いので普段は絶対に口にしない私が、何故かその日は1つだけ食べてみようかなという気になった。 それがドーナツ地獄にはまる始まりだった。 久しぶりに食べたドーナツは、まるで初めてトリュフのチョコレートを口にしたような衝撃だった。 

 

それからというもの、上司や近くの席に座っている別の部署の秘書がドーナツが余っているから欲しかったらおいで、と言われればほいほい食べに行くようになった。 妊娠後期はカロリーコントロールがとても重要な時期だ。 しかし、ドーナツ教にはまってしまった妻にはそんなことはお構い無しだった。 時には、会社の近くにあるドーナツ屋さんにお昼休みにこっそり出かけ、午後自分のオフィスで一人もぐもぐとドーナツを3つも頬張る妻。 ブレーキが完全に壊れてしまったようだ。 そのうち、その辺を車で運転していて Doughnut (ドーナツ)の看板を見ると急に心が躍るようになってしまった。 ほとんど病気だ。 

 

そんな妻も、臨月になって少しだけコントロールするようになった。 急激に糖分を取りすぎるのは妊婦には禁物だ。 しかし、完璧に断つことはできないので、量だけ減らし子供が生まれたら死ぬほど食べようと自分に言い聞かせていたのだった。 そして、程なくして娘が誕生。 病院から帰るや否や、夫に頼んでお祝いにドーナツを6つ買ってきてもらった。 もちろん妻が6つ全部平らげたのは言うまでもない。 それからと言うもの、事あるごとに大量のドーナツを買ってきてもらってはぺロっと平らげる妻。 しかも、1日に最低4つ(平均6個)も食べていた。 

 

こんなにカロリーの高いドーナツを食べ続けていたにもかかわらず、妻の体重は日を追うごとに減っていった。 まさに母乳天国!! 娘に母乳をあげ続けている限りは自分の身体に影響することはほとんどなかった。 しかし、私が摂取した糖分が母乳に流れていると分かった時はかなりショックだったが・・・。 それでも産後の疲れた身体が糖分を欲しているのでなかなか止められない妻。  

 

育児もだいぶ落ち着いて来た3ヶ月頃、ようやくドーナツ地獄から這い上がることができた。 正直、自分がここまでドーナツにはまってしまったのには驚いているが、時々食べる分にはそれほど害はないように思う。 今思えば、ドーナツを食べることを考えただけでわくわくしていた頃の自分が懐かしい。 二人目の子供が出来た時には今度は何にはまるのだろうか。 今からとても楽しみにしている妻なのだった。