「陸沈(りくちん)」という言葉がある。 ふつう、水に沈むことはあっても陸に沈むことはないが、 こんな言葉が一般的な言葉としてある。 この「陸沈」、 現代の造語ではなく古代中国の書『荘子』の中に出てくる言葉。 意味としては、 隠者と呼ぶべき人物が、俗世間の中でひっそりとした人生を歩みながらも、 こころは、常に世俗を超越し、 そして、それを悟られないように振る舞うこと、という意味になる。 すなわち、世俗の中に生き、目立たずに埋没している様子を表わしている。 研究者と呼ばれる人たちも、それに近いところがある。 俗世間の中でふつうに暮らしながらも、 心の中は、俗世間から超然としていて、頭の中は研究のことでいっぱい。 そう言えば、 今回、新しい万能細胞(STAP) の作製に成功し、 世界的な注目を浴びた理化学研究所の小保方晴子さんの エピソードの中に、 「デートをしているときも研究のことが気になった」とある。 まさに、世間でふつうに暮らしているようだが、 心は超然としているというところだろう。 このたびの画期的な成功がなければ、 一人の研究者として、ひたすら「陸沈」だけの生活だったかも知れない。 この成功で、目立たぬ「陸沈」状態から、脚光を浴びるようになったのは、 小保方さん自身よりも、 彼女が着ていた割烹(かっぽう)着かも?