年初公表の市場関係者77名へのアンケート(日経リサーチ)によると、2017年の日経平均の高値予想平均は2万1300円、為替は1ドル120~122円まで円安が進むというものです。
円安を背景とした企業業績の回復期待が主因ですが、トランプ相場の息切れを懸念する向きも根強くあるなど、トランプ大統領就任前のこうした予想の前提は仮定の域を出ず、信頼に足るものではありません。
トランプ政権の政策実効の手腕が未知数なだけに、全体相場の予想には大統領就任後一定期間を要します。
一方、こうした投資環境の下ではミクロに焦点を当て、政治リスクの影響を受けにくく、実用化の急速な進展で高い利益成長が見込まれるAI(人工知能)関連株が、年間を通じて物色対象になると予想しています。
トランプ大統領就任後100日間が試金石
低迷が続いた昨年の日経平均は、11月以降のトランプ相場が大きく貢献し、わずか0.4%とはいえ、何とか5年連続上昇となりました。
そのトランプ相場については、大統領就任が1月20日であることからすると、期待先行で上昇してきたことは明白であると同時に、大統領としての政策実効の手腕は未知数であり、少なくともハネムーン期間と言われる大統領就任後100日間が試金石になると見られます。
それまではトランプ政権の動向を予想するのは困難なだけに、日々のトランプ氏の発言に対する米国金利やドル円、海外投資家の動向に注意を払う必要があります。
政治リスクが少なく、高い利益成長の強みを持つAI関連株
冒頭の市場関係者の日経平均予想は、トランプリスクを勘案しつつも、米国第一主義の下で経済が改善すれば日本にも恩恵があるという漠然とした前提の下で、アナリスト予想ベースの来期EPS1420円に平均PERレンジの15倍を掛けると21300円となります。
ただ、今年は米国内の問題だけでなく、米中や米ロ関係、欧州での相次ぐ選挙などが政治の波乱要因になりかねないなか、日本株の動向を握る海外投資家は政治イベントを睨んだ投資行動が多くなることが予想され、短期では売りに転じる機会も少なくないと思われます。
こうした投資環境の下では、ミクロに焦点を当て、政治リスクの影響を受けにくく、実用化の急速な進展で高い利益成長が見込まれるIoT(モノのインターネット)やビッグデータ(膨大なデータの活用)、ロボティクス(ロボット技術つの活用)、自動運転に代表されるAI関連株が、年間を通じて物色対象になると予想しています。
例えば、あらゆるものがインターネットに繋がるIoTにおいては、ビッグデータを計測して送信し、分析して活かしていく過程があり、大手の関連銘柄には、
(1)計測に関するセンサーや半導体で、米・テキサスインスツルメンツ、イスラエル・モービルアイ、英・アーム、ソニー、キーエンス、オムロンなど
(2)送信に関する通信で、米・ベライゾンやシスコシステムズ、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIなど
(3)分析に関するAIやシステム開発で、米マイクロソフトやGE、エヌビディア、スプランク、アリスタネットワークス、日立、富士通、NECなど
が挙げられます。
ただ、泡沫銘柄も多い中で大化け銘柄を探すには、デファクトスタンダード(業界標準)に組み込まれる技術と政治力を持つベンチャー企業の発掘が不可欠であり、その際には米国の中小型銘柄を中心としたAI関連株投信を運用するプロに任せることも選択肢となるでしょう。