●元大使の自衛隊イラク派遣差し止め訴訟、訴えを却下 | ニュースで法学

●元大使の自衛隊イラク派遣差し止め訴訟、訴えを却下

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元大使の自衛隊イラク派遣差し止め訴訟、訴えを却下
朝日新聞 20061111 取得 元記事
2006年11月10日11時18分

 自衛隊のイラク派遣で憲法の平和的生存権が侵害されたとして、元レバノン大使の天木直人さん(59)が国に派遣の差し止めなどを求めた訴訟の判決が10日、名古屋地裁であった。内田計一裁判長は「訴えは不適法で、権利や利益は侵害されていない」と述べ、派遣差し止めと違憲確認の訴えを却下し、派遣や大使職の退職勧奨に伴う精神的苦痛に対する慰謝料1万円の請求を棄却した。

 天木さんは、同地裁に起こされた集団訴訟の原告の一人。ほかの原告3237人に対しては今年4月、訴えを退ける判決が出たが、天木さんは「外務省から退職勧奨を受けたのはイラク戦争に反対したためで、違法だ」とも訴えていたことから、訴訟が分離されていた。

 内田裁判長は4月の判決と同様、「憲法9条や平和的生存権は、国民の権利を保障したものではない」などと指摘。イラク派遣に関する訴えを全面的に退けた。

 その上で、天木さんの退職について「手続きは法に従っており、退職を拒否することが可能だった以上、退職勧奨の目的や動機が何であろうと違法ではない」と結論づけた。

 天木さんは01年からレバノン大使を務めており、03年3月の米軍のイラク攻撃を批判する公電を送った。同年8月に大使を辞職し、外務省を退職した。

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