●「在留特別許可に望み」 イラン人一家、10日に期限
---------------------------
「在留特別許可に望み」 イラン人一家、10日に期限 |
朝日新聞 20061108 取得 元記事 |
2006年11月08日06時24分
群馬県高崎市で暮らすイラン人、アミネ・カリルさん(43)一家4人の国外退去期限が10日に迫っている。国外退去処分の取り消しを求めて提訴し、3年前の一審・東京地裁判決で主張を認められたものの、二審で逆転敗訴、最高裁で上告棄却となった。揺れ動いてきた一家は、不法滞在の外国人に特例で滞在を認める「在留特別許可」に、最後の望みをつないでいる。 アミネさんは90年5月に90日間の短期滞在ビザで入国した。翌年には妻と長女も来日。中古車販売や家屋解体会社に職を得て、母国の両親や兄弟に送金してきた。高校3年の長女(18)は保育士を目指し、来春から群馬県内の大学に進学予定。来日後に生まれた次女(10)は小学4年になった。ともに日本語しか話せない。 00年6月に国外退去処分を受け、提訴した。最高裁で10月10日、一家全員の強制退去処分が決定。一家は同19日に在留特別許可を求め、再審を申し立てた。法務省が一家に与えた国外退去の猶予「仮放免」は、今月10日午前11時で切れる。 法務省は10月、これまで基準があいまいとされていた在留特別許可について、許否を判断する際のガイドラインを策定した。アミネさん一家の場合、日本での生活基盤がしっかりしており、帰国後の生活は困難となる見込みが高く、許可対象に該当する可能性がある。 これに対して法務省入国管理局審判課は「マイナス要素も検証したうえで判断する」と慎重だ。 一家を支援するNGO「APFS(アジアン・ピープルズ・フレンドシップ・ソサエティー)」(東京都板橋区)の山口智之代表は、ガイドラインはアミネさん一家だけではなく、現在全国で争われている同様の訴訟にも影響すると見る。在留特別許可について、法相の裁決には「子どもが中学生以上か、小学生以下か」という「暗黙の基準」があるという。アミネさんの再審申し立てを受けて法務省が家庭状況を再検証すれば、「認められる可能性はある」と期待している。 「最高裁の決定後、ショックでふさぎがちになっている娘を助けたい。平和に生きられる日本が大好き。娘たちの将来を考えると、ここで一生暮らしたい」と、アミネさんは話す。 一家が頼みにする先例もある。 許可を求めて東京入管に出頭した埼玉県川口市の不法滞在の中国人一家5人のうち、短大に通う長女だけが滞在を認められ、残り4人が不許可になったことを不服として、長女が再審請求。00年3月に法相は家族全員の滞在を許可した。次女の大学進学が決まり、両親が未成年の次女を養育する立場にある事情を考慮したとみられている。 不法滞在外国人に在留特別許可が認められた例は10年前が1511件で、昨年は1万834件と大幅に伸びている。 |
---------------------------