世界初のiPS臨床実施を承認、6人の網膜再生 | 真実と幸せ、科学をサポートする ラエリアンハニーリーです

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厚生労働省の審査委員会は26日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って目の網膜を再生する世界初の臨床研究を承認した。国での審査は実質的に終了、上部の部会と厚労相の了承を得て、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが先端医療センター病院(神戸市)で実施する。対象患者6人の募集が年内にも始まる見込み。

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 審査は、移植した細胞が腫瘍になる危険をできるだけ減らす手順を示すことや移植する細胞の感染検査を工夫することなどを求め終了した。永井良三審査委員長は「十分に時間をかけて審議できた」と述べ、議論を尽くしたことを強調。上部の科学技術部会は7月中旬に予定されている。

 対象は滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性という難病。網膜の下部にある色素上皮が、下から生えてきた異常な血管によって傷つき、視界がゆがんだり、視力が急激に落ちたりする。国内では高齢者を中心に推定70万人の患者がいる。

 研究では、患者の腕から直径約4ミリの皮膚組織を採取してiPS細胞を作り、色素上皮細胞に育て、シート状に成形し網膜に移植する。主な目的は安全性の確認で、腫瘍を作らず定着するかなどを確認する。視力回復の効果を本格的に評価するのは次の段階となる。

 参加する患者は、既存の治療法が効かないことなどの条件がある。細胞の安全性が未解明で、移植手術にも失明につながる合併症の危険性が数%あることなどを説明し、同意を得る。シート作製まで10カ月ほどかかるため、移植は早くて来年になる見通しだ。

 高橋さんらはラットやサルでデータをそろえ、細胞を扱う理研と、手術を実施する病院のある先端医療センターの倫理委員会に研究計画を提出。承認を受け、2月28日に厚労省に申請、今回は3回目の審議だった。

 iPS細胞  皮膚や血液など、特定の機能を持つ細胞に数種類の遺伝子を導入して、受精卵に近い状態にした細胞。ほぼ無限に増殖させることができ、培養の条件を変えることで心臓や神経など目的の細胞に変化させることができる。病気やけがで機能を失った部分を修復する再生医療や薬の開発への応用が期待される。2006~07年に山中伸弥京都大教授が開発、12年にノーベル医学生理学賞を受賞した。

  加齢黄斑変性  眼球の奥にある網膜の中でも、物を見る時に中心的な役割を果たす黄斑部の色素上皮が老化して視力が落ち、最悪の場合には失明に至る病気。厚生労働省が研究費助成対象の難病に指定している。