辛サガホシイ

辛サガホシイ

人生にスパイスを加えるべく、韓国に留学した女を主人公に小説を書いていきます。

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この街では日本人はすぐに見分けがつく。髪型や色、メイク、洋服の趣味も、韓国人の女とは全く違う。あさ美も典型的な日本人の外見だ。


韓国人の男は、いつの時代も黒髪ロングで高身長の女を好むとされているが、あさ美は自分の外見をいわゆる韓国風にするつもりはなかった。


控えめに染めたセミロングの髪の毛はふんわりと巻き、子犬のように黒目がちに見せるアイメイク、ほんのりとアプリコット色のチークも欠かさない。この頃は、カマキリのように尖った顎に削る整形手術も流行っているようだが、嫌みのない丸顔をあさ美自身は気に入っていたし、現に何人ものこの国の男が、あさ美のことを愛らしいと言った。


身長は155センチで、いくら高いヒールを履いてもこの国では男と同じ高さの目線になることはない。

あさ美は、日本人らしいこの外見がここでは武器になることを知っていた。


目も鼻も輪郭も、造り込まれた不自然な線が多いこの国の女達とは反対に、あさ美の持つ穏やかな曲線は優しげな雰囲気を放ち、華奢な体つきは、いわゆる「守ってあげたくなる女」に見せた。


繊細な長い睫毛で覆われた目を伏せたかと思ったら、今度は上目使い。日本製のアダルトビデオを見て育った彼らには、元々備わっている日本人女性に対する「ファンタジー」も手伝って、効果は抜群だ。


ただし、今のところ、日本人だと言うだけで声をかけてくる男ばかりだった。

日本に居る時には当然だが、日本人だというだけで近づいてくる男などいなかった。

声をかけてくる男は皆あさ美に本気だったし、一度でも関係を結べばあさ美を離そうとしない男ばかりだった。


それでも「愛されるより愛したい」などという、どこかのアイドルが歌っていたような感情がいつでもあさ美の中にあった。


愛だけじゃない。仕事も夢も、簡単に手に入るものには興味などない。欲しがっても手に入らないからこそ、手に入れた時の喜びが大きいというものだ。