女優、中島美嘉の熱量
中島美嘉は誤解されている。
いや、おれもサンブンノイチを観るまでは、完全に誤解していた。
それまでの美嘉ちゃんのイメージは、とにかくクール。
まあ、目にする情報がそれしかないんだもん。仕様がないよね。
サンブンノイチの美嘉ちゃんは、コメディエンヌの才能を見せてくれた。
とぼけた台詞まわしや、多彩な表情など、おれの知らない中島美嘉だった。
そして、さらにおれの予想を遥かに上回ったのが、彼女が内に秘めている熱量だ。
美嘉ちゃん演じるマリアが、
屋上を激走するあのシーン。
何度観ても、泣いちゃうんだよね。
とにかく、熱いんだよね。
サンブンノイチの試写会のとき、
あのシーンで思わず腰を浮かしてしまった。
同じ衝撃をある作品で受けたのを思い出したからだ。
その作品は、『キック・アス』
あのラストの感動を美嘉ちゃんの走りに見たわけだよ。
負け犬が跳ぶ。高く飛ぶ。
まさに、キック・アスじゃねえか!と。
あのね、たしかに、サンブンノイチはタランティーノにオマージュを捧げてるけど、クールなバイオレンス映画ではないよ。
どうしょうもない馬鹿がもがいて成長する熱い青春映画なんだよ。
そこを勘違いしたまま、ピントのズレた批評はしないでくれよ。
キック・アスに感動した映画マニアなら必ずわかる。
中島美嘉の熱量が。