心の中に新たな発見?みたいなものがありましたヘ(゚∀゚)ノ
なのでちょっぴり余裕が出来てきました。
というわけで、さっそく記事の転載です。
内容は重いですが、受け止めて下されば…と思います。
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2010年6月18日付 宮崎日日新聞より転載
【連載企画】殺処分の現場から(上)
■雨、暑さ過酷さ増す 熟練獣医師少なく苦戦
口蹄疫の発生以来、県内では2カ月も家畜の殺処分、埋却作業が続く。国や県が今月20日までに疑似患畜、30日までにワクチン接種家畜の処分完了を目標に掲げる中、連日、市町村や県、JAの職員、県内外の獣医師、陸上自衛隊員ら900人以上が作業に従事。早期終息への使命感を抱き、蓄積が進む心身の疲労と戦っているが、今後の作業は雨や暑さにより過酷さを増す。関係者の証言から作業の在り方を考える。
児湯郡内の開業獣医師は、全国から投入された獣医師について「技術の差が大きい」と指摘する。ペーパー獣医師の行政職員のほか、「鶏が専門という人もいた」と語る。薬殺の静脈注射に慣れておらず、専門の開業医が10~20頭処分する間に不慣れな獣医師が処分できるのは数頭。人数はそろっているが、熟練者が少ないのが実情という。
注射の間に家畜を捕まえておく「保定」には、5月中旬から埋却を終えた被害農家が志願し、作業の効率化に貢献している。川南町の酪農業黒木俊勝さん(30)もその一人。現場では発生農家と迅速化を主張する県職員が対立する場面にも遭遇した。「牛の親子を並べて穴に入れてくれ」と願う農家の心境はよく理解でき、双方の間に立った。県外から来てくれた獣医師に対しては「不慣れだが、一生懸命さが伝わる」と感謝する。
同じく“志願農家”の柳川勝志さん(38)=川南町=は「畜舎が違えば作業方法はがらりと変わる」と段取りの重要性を訴える。殺処分を行う場所や家畜を誘導する順路を決める際、現場の意見がまとまらないことが多いという。「前日に農場を視察する先遣隊の情報がうまく伝わっていない」と、最近は事前に現場を訪れ、順路を把握するよう心掛ける。
作業員がそろっても、重機やダンプカーが間に合わず時間を浪費することも。雨で地盤が緩みダンプカーが横転することもあり「この状況でペースを上げれば、けが人が出る恐れもある」と数字だけを追う作業目標に怒りを感じる。
作業員は防護服を着て、ウイルスや消石灰の侵入を防ぐために手首や足首をガムテープで密閉する。宮崎市の40代JA職員は「中は汗でびしょびしょ。水分補給のために1日5、6本もペットボトルを空にしたが、1回もトイレに行かなかった」。
関西から派遣された50代獣医師も仲間の体調を気遣う。「多くの人が使命感を持って来ている。具合が悪くなれば、すぐ申告するようになっているが、無理をする人が多い。脱水症状みたいになることもある」。スピード重視の現場で、安全性がなおざりにされないよう警鐘を鳴らす。
2010年6月19日付 宮崎日日新聞より転載
【連載企画】殺処分の現場から(下)
■死ぬ間際の絶叫耳に… 作業員ケア急務
「今まで聞いたこともない豚の絶叫、壮絶な悲鳴、死ぬ間際のうめき声…。遠くから叫ぶ人のような声にも聞こえた」。フォークリフトの運転手として殺処分作業に従事した日向市の会社員男性(47)の耳に、それは今も聞こえてくる。
産廃ボックスに約100頭の豚を詰め込み、ブルーシートをかぶせて炭酸ガスを注入。20秒後、激しく暴れる豚がぶつかる感触を、シートを抑える両腕に感じる。1分半後、絶叫がうめき声に変わる。2分後、音が途絶える。身の毛がよだつ静けさが漂い、20人ほどの作業員は皆、黙ったままうつむいていた。「もういいでしょう」と獣医師が口を開くまで。
帰宅後、風呂に入り、早く忘れたいと黙って缶ビールをあおった。「無益な殺処分に加担した」と自己嫌悪に陥りながら。翌日、体には原因不明のじんましんが出ていた。医者からは、何かショックなことが無かったか尋ねられたが、うわさや差別されるのが怖くて、何も言えなかった。
その後も2度、作業に加わった。「県から依頼があれば、自分が行くしかない。初心者に任せて作業効率を低下させるわけにはいかない」。夢でうなされるようになりながらも、使命感で自らを奮い立たせる。
現場には、国や県、自治体、NOSAI、JAなどの職員や獣医師らが派遣される。中でも、手慣れた手つきで作業をこなす獣医師は、誰からも頼りにされる。川南町の30代男性獣医師も、感情を表に出すことなく、先頭に立って牛の首の静脈に次々と薬剤を注射していった。
「感情的にやっていると手が動かない」と気持ちを頭の隅に追いやる。1カ月前に難産で助けた子牛にも、注射針を立てた。それでも、ふとした空き時間には、「本当に打っていいのか」「こんな処分で良かったのか」と自問自答する。
「作業員にも、もう少ししっかりとしたケアをしてほしい。一般の人にも理解してほしい」。この獣医師のせめてもの“要求”は「心のケア」と「周囲の理解」だ。
「今は気持ちが高ぶっていて頑張れるかもしれないが、高揚状態はいつまでも続かない」。防衛医科大精神科の災害精神科医・重村淳講師は、気持ちが緩み精神的に不安定になりやすい時期に注意するよう、警鐘を鳴らす。
「十分な休養や気分転換、同じ境遇にある仲間や家族と支え合うことが必要」と訴え、長期的な不眠や憂うつ感といった症状、気持ちを高ぶらせるアルコールやカフェインの取りすぎに注意を促す。
そして「宮崎の農業を守るための誇りある仕事をしているということを、きちんと作業員に伝えてほしい」と切に願う。(口蹄疫取材班)
疲労によるうつ心配 加藤寛医師に聞く
口蹄疫により、膨大な家畜の命を絶つ作業が続けられている。被害農家や作業従事者らの心に掛かる負荷は深刻。どういったケアが必要とされているのかを、兵庫県こころのケアセンター副センター長で精神科医の加藤寛医師=宮崎市出身=に聞いた。加藤医師は阪神大震災や尼崎JR脱線事故などの大規模災害時に被災者らの心のケアに当たった経験を持ち、口蹄疫も災害と同じだと考える。(聞き手・口蹄疫取材班 中西透)
―考えられる心への影響は。
口蹄疫は災害と同じ。ただ、人命が失われるような災害とは異なるため、現場の惨状を見た人への影響がどれほど残るのか分からず、長期的な調査・支援が必要になる。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症は否定しないが、疲れからくるうつ症状が主になるのではないだろうか。
―うつ症状が出たらどうすればいいか。
疲れや罪悪感で気分が落ち込むのは、ごく自然な反応。「こんなふうになるのは情けない」などと思う必要はない。多くの場合は自然に回復してくる。もし、不眠や気持ちの落ち込み、食欲がない、いつも疲れているなどといった症状が長期間続く場合には、専門家に相談してほしい。
―被害農家や地域住民にとって大切なケアは。
生活のめどが立ち、経営を再開するための現実的な支援が第一。早く混乱を終息させ、生活再建へのサポートをすることが何より心のケアになる。精神的に不安定になりやすい人へは、保健師が家庭に出向いて体調を確認することも必要だ。
―殺処分などに当たる作業員らにとって大切なケアは。
作業の時間を限ることが大切。つらい仕事が4日以上も続くと疲弊してしまい、長持ちしない。ローテーションを組んで、定期的にしっかり休ませる。過酷な仕事は3日が限度。災害時に派遣される自衛隊も72時間で交代する。
また、「ウイルスがうつるから作業員に近づいたらいけない」などという変なデマが流れていないか心配。作業員が安心して普通の生活を送れるよう、きちんとした情報を伝え、作業後の消毒も徹底してほしい。
【相談】心のチェックシート
兵庫県こころのケアセンター副センター長で精神科医の加藤寛医師に口蹄疫を災害として位置付け、心のチェックシートを作成してもらった。
【はじめに】
大災害後は生活の変化が大きく、いろいろな負担(ストレス)を感じることが長く続くものです。最近、下記の質問に該当するようなことはありませんでしたか。質問に該当し、それが気になる場合は早めに相談窓口に相談しましょう ※この質問票は災害が身に降りかかってから約1カ月後を想定して作成したものです
【質問】
1.食欲はどうですか。普段と比べて減ったり、増えたりしていますか
2.いつも疲れやすく、身体がだるいですか
3.睡眠はどうですか。寝つけなかったり、途中で目が覚めることが多いですか
4.災害に関する不快な夢を見ることがありますか
5.憂うつで気分が沈みがちですか
6.イライラしたり、怒りっぽくなっていますか
7.ささいな音や揺れに、過敏に反応してしまうことがありますか
8.災害を思い出させるような場所や、人、話題などを避けてしまうことがありますか
9.思い出したくないのに災害のことを思い出すことはありますか
10.以前は楽しんでいたことが楽しめなくなっていますか
11.何かのきっかけで、災害を思い出して気持ちが動揺することはありますか
12.災害についてはもう考えないようにしたり、忘れようと努力していますか
【相談窓口】
県精神保健福祉センター 0985(27)5663
中央保健所 0985(28)2111
日南保健所 0987(23)3141
都城保健所 0986(23)4504
小林保健所 0984(23)3118
高鍋保健所 0983(22)1330
日向保健所 0982(52)5101
延岡保健所 0982(33)5373
高千穂保健所 0982(72)2168
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ようやく現場に立つ方々の心のケアについての記事が出始めました。
>「畜舎が違えば作業方法はがらりと変わる」
畜舎というのは、当然ながらどの農場も全く同じという訳ではない。
うちみたいに木造で、建て増しして作られた所もあるだろうしね。
>口蹄疫は災害と同じ。ただ、人命が失われるような災害とは異なるため、現場の惨状を見た人への影響がどれほど残るのか分からず、長期的な調査・支援が必要になる。
今までに例の無いことなので、難しいですね。
「一般の人にも理解してほしい」というのは、同情しろと言っているのではないと思います。
労う気持ちが必要なのだと思います。
ただ、「ウイルスがうつるから作業員に近づいたらいけない」とか「動物虐待者だ」とか
おかしなデマを流したり、罵ったりすることは絶対してはいけません。
いつもブログを読んで下さって有り難うございます。
このブログを書くことで、様々な立場の方の色々な意見を知ることができます。
応援も、同意も、批判も、すべて私に考えるきっかけを与えてくれます。
それは、とても幸せなことだなと思います。
さて、ずっと重苦しい記事が続いていたのでそろそろ心のケアが必要です。
というわけで、答え合わせ

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姉