卓球では指を使うシーンもあるかと思いますが、指の使い方の動画を探した時に中々見つからず、紆余曲折の末に見つけた動画がコレ。




記事に取り上げた動画は、ワールドラバーマーケットの2つの動画です。WRMは卓球YouTube界では言わずと知れた老舗中の老舗。



2008年くらいにYouTubeを始めたのかな。某YouTuber曰く、卓球ジャンルでは世界3位の登録者数を誇るとのことらしい。



今回取り上げた動画に登場しているのは、最初の動画はやっすんさんのみ、次の動画はやっすんさんとがねさんの2人。



やっすんさんは、京都府にある卓球の名門東山高校出身で、天理大学を経てWRMに在籍しているという経歴の持ち主。天理大学はご存知の通り某天理教系の大学ですが、宗教法人ではなく学校法人なので、関西テレビでは余裕でCMを流すことが出来ます。



名門東山高校出身のやっすんさんの動画ですが、結論から言うと、



間違った指の使い方の典型例



です。



この動画の間違った部分を私が指摘しよう。



握るような使い方で切る



これはツッツキの時の指の使い方の例ですが、もっと分かりやすく間違っている部分を画像で解説すると、



握る前


握っているところ




実は、10年以上前にジジイの指導者がフォア打ちで私に指導した内容と全く同じです。



なぜ、このようなラケットを握る打ち方が日本の卓球界で蔓延してしまったのか?



日本や中国、韓国、台湾等の国や地域で元々主流だったのはペンホルダーであり、シェークハンドが普及したのはその後。なので、ペンホルダーは指の使い方が広く浸透していたのに対して、シェークハンドは指の使い方が発展途上だったという歴史的経緯があります。



ペンホルダーに指の使い方があるのだから、シェークハンドにも指の使い方はあるのではないか?



そこで、日本の卓球界が参考にしたのは、テニスでのラケットの打ち方であるラケットを握る方法でした。テニス打ちの方法が日本の卓球界に広まってしまって現在に至ります。



で、この打ち方がなぜ間違った方法なのか。これは押す打ち方だから。CC理論で書いたように、押すよりも引く方が楽なんです。



逆の見方をすれば、打球インパクト時にラケットを握ることで前方向に加わる力を利用して引っ張る効果を生み出しているという意見は、もしかしたら出てくるかと思います。



が、この打ち方はもう一つ欠点があって、みんな大好き手打ちになってしまうんですね。



残念ながら、この打ち方は打球時に一瞬だけ力を加えて衝撃波を発生させるという格闘技では定番の理論なので、体全体を使った打ち方ではないんです。



しかも、今はグルーもラバーの後加工も禁止になって、球が飛ばなくなったので、手打ち自体がそもそも無理。



さらに、2つ目の動画にも間違った部分があります。



注目して欲しいのは、右側のやっすんさんのラケットの握り方。



親指と人差し指がラケットから離れています。



このような握り方をすることで、ラケットを捻れるとのことらしく、親指と人差し指をホールドすると捻れないとか言っています。(下の2枚の画像)




親指と人差し指をホールドする握り方は、テニスやバドミントンでいうところのコンチネンタルグリップに相当する基本的な握り方。



そして、この握り方でラケットを捻れないかというと、実際は手首をグルングルン動かせば問題なく捻れます。以前書いたよね?手首はモビリティ関節だと。



言っていることとやっていることが全然違うじゃん‼︎



さらに、やっすんさんの握り方だと、打球を感じるのは中指・薬指・小指という触覚では鈍感な部分になり、これらの指は力が入りにくい部分。ラケットを握って力を入れてしまうと、人差し指が敏感に反応出来なくなります。そして、手首も動かなくなり、回内・回外もやりにくくなります。



やっすんさんの方法でも一応打つことは出来ます。下3本の指でラケットを握ってますからね。裏を返せば、この握り方はテニス打ちの方法であるのが見え見えの動画であることが分かります。



極め付けはフリック時のラケットの握り方で、これもテニス打ちの指の使い方。



この握り方は不安定になりやすく、回内・回外を使ったフリックの打ち方が出来なくなるというデメリットもあります。



名門東山高校卓球部では、ラケットの握り方って、こんなデタラメな握り方なんですかね?



この動画は、やっすんさん独自の指の使い方を紹介しているだけであって、正しい指の使い方を紹介する動画ではない



やっすんさん曰くレディースの指導者として紹介するにはあるまじき動画であることが理解して頂けたのではないかと思います。



やっすんさんが何とか頑張って指の使い方の動画を出したかった気持ちは評価したいのですが、ダメなものはダメなので🙅🏻‍♂️




ちなみに、偉関晴光氏の著書では、シェークハンドでは人差し指を使うと書いています。



文字数の制約もあるのか、文章内容だけでは分かりにくいかと思いますが、触覚に敏感な人差し指の第一関節をアンテナとして使い、親指を添えて残りの3本の指でラケットを握ることで、人差し指で打球するような感覚で打つのが指の使い方の正論になるかと思います。



やっすんさんよ。間違った指の使い方を教えちゃあイカンのですよ😡