契約直前で交渉を打ち切られたので損害賠償を請求した事例

 

 

ざっくりした事案は,以下のとおり。

 

 

 

 

YがXにフロアを借りたいと申し入れ

条件交渉,契約書の案は概ね決定

Xが,Yの要望に応えるためにフロアを工事

Yが交渉を打ち切る

交渉期間は7カ月

 

 

XがYに,一方的に交渉を打ち切られたとして損害賠償請求

 

 

 

契約は成立していない段階ですが,損害賠償請求が認められています。

 

いわゆる契約締結上の過失です。

 

Yの要望に応えるための工事費用と,Xが7カ月間費やした人件費が損害として認められています。他方,貸していれば得られたはずの賃料は,認められていません。

 

 

 

交渉なので結局契約成立にいたらない場合もありますが,それでも相手に不当な損害が発生しないように注意する必要があります。

 

Xの立場からは,契約が成立していない段階で,工事を開始すべきではないし,工事をするならば本契約前に何らかの書面を交わしておくべきです。

 

 

 

Yの立場からは,契約が未成立でも責任を負う場合があること,相手に過度な期待は抱かせないように注意すべきといえます。

 

 

 

最終的に請求が認められるか否かの判断は,交渉の期間・経緯,Yが交渉を打ち切った理由によります。

メールやチャットなど履歴の残る方法で行う頻度が増えれば,それらの争いに費やす労力は減っていくでしょうね。