「ウザい。消えろ」

 

など思春期、反抗期の子の暴言。

親としては頭にくるだろう

 

まったく平気という人は

いないと思う。

 

つい頭にきて

「いいかげんにしろ!」

と叫ぶなど、

感情的な反応をしてしまうことも

あるかもしれない

 

でも、その気持ちは

本当によくわかるのだが、

それでも親御さんたちに

伝えたいのは、

そうした反応が

完全に逆効果になるということだ

 

火に油を注ぐことで

暴言の応酬になり、

子どもはますます

反抗的になる。

 

家の中の雰囲気が最悪な状態になり、

親子ともどもストレスが

マックスに達する

 

さらに

一番気をつけなければならないのは、

怒りのあまり

いってはいけない

存在否定や人格否定の言葉を

子どもにぶつけてしまうことだ

 

存在否定とは

「お前なんかいなければよかった」

「生まなければよかった」など、

 

その子の存在そのものを

否定する言葉だ。

 

人格否定とは

 

「お前は卑怯だ」

「本当にずるい」

「口ばっかりだ」

「うそつき」

「情けないやつ」

 

など、その子の人格を

丸ごと否定する言葉だ

 

こういう言葉は

深く子どもの心を傷つけ、

親に対する不信感につながる。

 

そうなると、

思春期が終わって

普通ならまた以前のような

親子関係に戻れるような

時期になっても、

子どもの気持ちが

元に戻らないことがある

 

このようなことにならないために、

僕は思春期の子どもが

暴言を吐く背景を

親がしっかり理解しておくことが

大事だと思っている

 

理解すれば

怒りが少しは

和らぐのではないだろうか?

 

怒り(イカリ)の反対は

理解(リカイ)だ。

 

暴言の背景にあるのは、

ひと言でいうと

思春期特有の

体と心の不安定。

 

具体的には次のようなことだ

 

●増加する性ホルモンが
 扁桃体を刺激して感情が爆発

 

第2次性徴である思春期には

性ホルモンがたくさん作られる。

 

その性ホルモンが

扁桃体を刺激する。

 

扁桃体は

感情をつかさどっているので、

性ホルモンが増えることで

感情が爆発しやすくなる

それがイライラや

暴言を引き起こす

 

●体の急激な変化で
 自分のトリセツがわからない

 

思春期には

今までにない速さで

自分の体が変化し、

そのことに戸惑いを感じる。

 

同時に性への関心が

高まることも

気持ちの不安定さにつながる。

 

とにかく自分のトリセツがわからず、

自分でも持て余している状態だ

 

●前頭前野の未発達で
 キレやすくなる

 

京都大学の森口准教授によると、
12才~15才(中学生)の頃は
小学生の頃より
欲求をコントロールする力が
一時的に下がり
キレやすくなるそうだ。

というのも、
中学生は小学生より
さまざまな欲求が増えるのに、
欲求を抑えるブレーキの前頭前野が
まだ十分に成長していないからだ

 

小学生はブレーキも未発達だが、
アクセルもまだ
それほど強くない。

それでうまく

バランスが取れていて、

それほどキレないのだ

 

その後、

高校・大学と成長するに連れて

頭前野が成長するので、

またバランスが取れるように

なっていく

 

●自我の確立という
 大きなテーマに挑んでいる

 

思春期の子は精神的にも

自我の確立という

大きなテーマに挑んでいる。

 

例えば、

「自分は何者なのか?
どう生きるべきか?」

などと悩んでいたりする

自分の土台を確立するための
葛藤でありこれも不安定の要因だ
 

●権威的な存在への反発
 

「親や先生は本当に正しいのか?
言うこととやっていることが
違うのではないか?」など

権威的な存在への疑いや
反発も感じている

また
「世の中はこれでいいのか?
間違っているんじゃないか?」

などの疑いも持ち始めている

それもまた不安定さにつながる

 

●友達関係での気づかいや悩み

 

思春期の子は
親や先生などの権威に
反抗して自我を確立する時期だが、
それは簡単なチャレンジではなく
不安に満ちたものだ。

そこで、
一緒にチャレンジしてくれる
同士としての友達の存在が
重要になってくる
 

その結果、
友達とよい関係を築くことに
非常に気をつかうようになる。

つねに友達との関係で
自分の立ち位置や
振る舞いに気を配り、
自分がどう思われているか、
孤立していないかなど、
必要以上に心配している。
これもまた大きなストレスだ

 

●学力や将来への不安

 

勉強がどんどん難しくなり、

学年が上がれば上がるほど

学力差が大きくなるので、

勉強について焦りを感じる子も

増えていく

学力は進路の決定にも

影響してくるので、

同時に将来への不安も

感じるようになる。

 

気にしてないように見えても

実は気にしているのだ
 

●多忙ですり減っている

 

思春期の子たちは

本当に忙しい。

 

学校、部活動、委員会、塾、習い事、

リアルとオンライン両方での

友達との交流など

気が休まるときがない。

 

家に帰っても

宿題やら何やらで

追いまくられている。

以上のようなことが
反抗期の子の暴言の背景にある。

つまり、
仕方がない面があるのだ。

もちろん、

それでもイラッとすることは

あると思う。

 

そういうときの僕のお勧めは、

深呼吸とその場から離れることだ

 

とりあえず胸いっぱいに

息を吸って、

できるだけゆっくり

吐き出す

 

1回やるだけで

かなり違う。

 

また、イライラしながら

その場にいると

結局子どもに

ぶつけてしまうので、

その場から離れるようにしたい

 

この他にも

いろいろな方法があると思う。

 

アンガーマネジメントに関する本は

世の中にたくさんある

 

自分がやりやすい手法を

いくつか身につけておくことが大事だ

 

とにかく、

できるだけ家を子どもにとって

居心地のよい場所にしてあげてほしい。

 

そうすれば、

子どもは外でイヤなことや

大変なことがあっても

家に帰ってきてくれる

 

そして、家でリラックスして

充電することができるのだ

 

家が居心地が悪くて

居場所がない場合、

家に帰ってくるのが

イヤになる。

 

かつての僕は

ずっとそうだった

 

そして、居場所を外に

求めるようになってしまった。

 

今思えばこれは

大変危険なことだ

 

僕は両親に否定され続けて来たので

子供たちの気持ちが痛いほどわかる

 

だからこそ

親は承認欲求を満たし

自己肯定感を

育成してほしいのだ