円安が日本を苦しめている。

 

物価は上がり、

一方で賃金は上がらず、

気づけば日本人は

かつてに比べ豊かでは

なくなってしまった

 

国や日銀は為替介入したり

金利をいじったり対応をしているが、

それだけでは好転しそうにない

 

なぜなら、

円安の根本原因は

日本の国力の低下

そのものにあるからだ。

 

為替や金利などの

表面的な対応ではなく、

もっと本質的かつ

長期的な対応が必要だ。

 

その抜本的な対応のひとつとして、

非常に重要なのが

子育てや教育だ。

 

それらに長年関わっている立場から、

今回はいくつか提案したい

 

円安はドルが高いという意味であり、

それはアメリカ経済が強いからだ。

 

強い理由としてひとつ大きいのは

 

GAFAM

 

(Google・Amazon・

Facebook〈現Meta Platforms〉

・Apple・Microsoftの頭文字を

とった呼び名)

 

に代表されるような

革新的なビジネスを行う

強い企業群があり、

経済を牽引しているからだ。

 

そして、今もGAFAMに続く

革新的なビジネスが

たくさん生まれ続けている

 

アメリカには、

他人がやらないような

独創的なアイデアで、

新規ビジネスを始めたり

起業したりする人が

たくさんいる

 

それに比べると

日本はそこが弱い。

 

2021年度の日本の

新設法人数は14万4622社だが、

アメリカは約540万社で

日本の約37倍だ

 

なぜ日本がそこに弱いのかというと、

子どもの頃から

学校でも家庭でも

次のように言われて育つからだ

 

・勝手なことをしないで、
 みんなと同じことをしなさい

・親や先生に言われたことを
 ちゃんとやりなさい

・自分の好きなことや
 やりたいことではなく、
 やるべきことをやりなさい


・得意なものを伸ばすのではなく、
 苦手なものを
 人並みにできるようにしなさい


・とにかく短所を直しなさい
 

特に日本の学校は、

授業も行事も含めて全て、

みんなが同じ時に

同じことを同じようにする

「集団主義」「横並び主義」が

大前提に設計されている

 

授業は未だに最大40人という

大人数の一斉授業が基本だ

 

だから、

授業についていけない子は、

わからないまま座っているだけで

おいていかれる。

 

学力が高い子には

わかり切った内容なので

時間の無駄になる

 

そういう子は

どんどん高いレベルに

進めるようにすれば

もっと伸びていけるのに、

一斉授業ではそれができない

 

学校行事も同様で、

個人が主体的に

活躍できる場面は少ない。

 

何事においても同調圧力が強くて、

周りに合わせられない子は

生きづらい思いをする

 

こういう環境では

組織の歯車になる人は育つが

独創的なアイデアをひらめいたり、

やりたいことを

主体的にどんどん

実行したりするような人は

育たない

 

学校でも家庭でも

そういう環境で育ち続けて、

大人になって仕事を始めてから急に

 

「みんなと同じじゃダメだ。

 他がやっていない企画を考えろ。

 オリジナリティを出せ」

 

と言われても無理に決まっている

 

学校も家庭も、

横並び主義から

抜け出す必要がある。

 

特に日本の学校は

アップデートする必要がある

 

つまり、

もっと子ども1人ひとりの

興味関心や学力に応じて

学べるスタイルに

変えていく必要がある。

 

これを学びの個別最適化という。

 

そうすれば、

オチコボシも

フキコボレもなくなり、

どの子も自分の能力と

ペースに応じて

伸びていくことができる

 

とはいえ、

先生たちは

超ブラックな労働環境の中で

既に精一杯やっていて、

これ以上のことを求めるのは無理だ。

 

必要なのは、

教育予算を増やして

先生の数を増やし、

少人数教育を実現して

個別最適化ができる態勢を

作っていくことだ

 

先進各国は既に

少人数教育に舵を切っている

 

日本もそうすべきだろう

 

そのためには、

教育に向ける予算を

増やす必要がある。

 

ところが、

日本の教育に対する公的支出は、

GDPの2.8%で、

OECD平均の4.1%を

大きく下回り37カ国中で36位だ。

 

ちなみにその前年は最下位で、

その前には6年連続最下位を

記録したこともある

 

どの国もお金に余裕があるから

教育予算を増やしているわけではない。

 

どの国も一様に大変なのだが、

それでも教育の大事さが

わかっているから

増やしているのだ。

 

そこが日本と違うところだ

 

2022年度時点で

不登校を選択している

小中学生は約30万人だ。

 

これほど多くの子どもたちが

学校にノーをつきつけているのは、

さまざまな理由があるとはいえ、

集団主義を前提とした

校の設計自体に無理がきているからだ

 

不登校を選択した子どもたちの多くが

フリースクールを選択している。

 

学校よりも個別最適化された

学びができるからだ

 

東京都は2024年度から

不登校の子どもを対象に

フリースクール等の費用を

月2万円の助成を行っている。

 

ぜひ、これを全国に

広げていくべきだと思う。

 

そのためには、

各自治体任せにするのではなく、

国レベルで行う必要がある

 

ホームスクーリングを

選択する子もいるので、

当然そちらにも助成が必要だ。

 

僕は、フリースクールや

ホームスクーリングを

選択する子どもたちにこそ、

大きな可能性があるのではないかと

思っている。

 

そういう子たちは、

主体的な自己実現力が

ある大人になる可能性が

高いと思うからだ。

 

日本のGAFAMは

そういう子たちの中から

生まれるのかもしれない

 

学校教育と同時に

変える必要があるのが、

幼稚園や保育園における

幼児教育だ。

 

ひと言でいうと、

遊び中心に

舵を切ることが大事だ。

 

でも、実際には遊び中心の

園は少なくて、

小学校の内容を先取りして

取り組む小学校の

予備校のような園が多い

 

例えば1時間目ひらがな、

2時間目数のお稽古、

3時間目鼓笛隊の練習

という感じの園もある。

 

なぜなら、

そのほうが親の受けがよくて

経営が安定するからだ

 

そこを卒園した子どもたちは、

確かに小学校入学後の

スタートダッシュはよくなる。

 

でも、その後に

伸び悩む子も多いのは

皮肉と言わざるを得ない

 

実は、

遊び中心の自由保育のほうが

子どもが伸びることが、

発達心理学の研究で

はっきりわかっている。

 

遊びの中で

非認知能力

読み書き能力

語彙力

 

などが大きく伸びるからだ。

 

実際に、幼児期に

たくさん自由遊びをした子ほど

大学受験でも

よい結果が出るということが、

内田伸子

(お茶の水女子大学名誉教授)

の研究でわかっている

 

シカゴ大学の研究でも

内田先生の研究と

同じような結果が出ている。

 

それによると、

学力が上がるだけでなく、

仕事がよくできて

収入も上がるとのことだ

 

だから、幼稚園や保育園も

遊び中心の方向に

舵を切るべきだろう。

 

そのためには、

ここにもしっかり

予算をつけて

幼稚園や保育園の先生を

増やす必要がある

 

家庭の子育てや

教育も次のように

変えていく必要がある

 

・みんなと同じを強いる
  横並び主義をやめる

・短所や苦手を直すことより
  長所や得意を伸ばすこと

・親がやらせたいことより、
  遊びも含めて本人が
  好きなことや
  やりたいことを優先する。
  それに熱中できるように応援する

 

家庭での取り組みで

参考になるのが、

 

「サンドウィッチマン&

 芦田愛菜の博士ちゃん」

 

という番組だ。

これに出る子は、

みんな自分の好きなことに

熱中していて、

親が徹底的に応援している。

 

その結果、

子どもたちは

みんなやる気満々で、

自分がやりたいことを

自分で見つけて

どんどんやっている

 

頭がよくて

理解力
思考力
表現力
記憶力

に優れている。

 

こういう子たちの将来は

明るいと思う

 

人口も国力を左右する

大きなのもののひとつだ。

 

ところが日本の人口は

毎年減り続けている。

 

ピークの2008年には

1億2808万人だったのが

2024年4月1日現在では

1億2400万人で、

16年で408万人も減っている。

 

しかも、減る人数も割合も

加速度的に増えている

 

“異次元の少子化対策”を

実際に行っていくことが必要だ

 

表面的でなく

本質的かつ長期的な

対応が必要だ

 

中でも教育が大事だ

 

資源のない日本が

人を育てること

つまり、

教育に力を入れなくて

どうするのだろうか? 

 

現状、日本は

教育先進国とは言えない。

 

このまま教育に

予算を割かずにいたなら、

日本の衰退は

ますます加速するばかりだ