フェイスブックやLINE、
インスタグラムといった情報空間で、
僕らは四六時中
誰かとつながっている状態だ。
しかも日本だけでなく
世界中の他者と
つながっていられる状態に
なってしまった
とんでもなく便利なことだが、
考えてみると
異常な状況でもある。
自分の個室に
いつでも他人がノックなしに
入ってくる。
しかもそれが1人とは限らない。
その状態が切れ目なしに続く。
これは精神衛生上、
望ましい環境とは言えない。
1人になって
精神を落ち着かせる時がない。
相手から連絡が来たら
すぐに返事を出さないといけない。
既読して何時間も
スルーしていると
お互いに気まずくなってしまう。
かといって、
いい加減に返事を出すと
誤解されてしまう。
いろんなことに
細かい神経を使わされているのだ
しかもそのネット空間では、
不安やイライラをかき立てる
要素がある。
突然の悪意のこもったコメントや
返信を見て、
怒りを覚えたり
憎しみを感じたり、
感情を荒立てる場面にも遭遇する
軽い緊張状態、
興奮状態が
ずっと続いている感じ
といったらいいかもしれない。
24時間、つねに
誰かとつながっている感覚で、
切れ目やオフがない状態と
いってもいいかもしれない。
そんな軽い緊張状態、
興奮状態が続くと、
明らかに集中力がなくなり、
判断力や意志力が衰える
最近の行動心理学や
社会心理学の分野での常識の1つが、
「人間の判断力や意志力といった
精神力は有限である」
ということ。
ちょうど筋肉と同じだ。
筋肉は使うと疲労が蓄積し、
どんどん力が落ちていく
精神力も同じで
使うほどに減っていくことが
わかっている。
いったん休息して
疲労物質が分解されて初めて、
再び筋力と同じように戻ってくる。
アメリカで行われたある実験だが、
被験者を3つのグループに分ける。
それぞれにパズルの難問を
解かせるのだが
その実験の前に
別々の楽屋に待機してもらう
じつは3グループともに
空腹にしておいてもらい、
1番目のグループの楽屋には
お菓子が置いてあり、
自由に食べてよいと告げる
2つ目のグループの部屋には
何も置いていない。
最後、3つ目のグループの楽屋には
同じようにお菓子が置いてあるのだが、
食べてはいけないと告げる
その後、
同じパズルを解かせるのだが、
実は絶対に解けないパズルで、
何分間粘って考え続けられるかを
測るのが目的だ
すると1番目と2番目は
20分間の制限時間いっぱい
考え続けられたのだが、
最後のお菓子を
我慢させられたグループは
ほんの数分間取り組んだだけで、
全員がギブアップしてしまったのだ
このアメリカの実験が
示しているのは、
心のエネルギー量は
有限だということだ。
1日の心のエネルギー量が
あるとすると、
それを何に使うかが問題になる
現代の多くの人は
インターネットやSNSに
エネルギーを消費してしまい、
それ以外に向けられる
精神エネルギーが相対的に
少なくなってしまっている。
僕はそれを
「心の漏電状態」と
表現している
インターネットやSNSに
つながっていることで、
気づかないうちに
少しずつエネルギーが
漏れている状態だ
そして気が付くと
バッテリー切れで
動かなくなってしまう……。
心の漏電状態が続いて
精神エネルギーの総量が落ちると、
判断力や意志力も落ちることが
知られている。
するとネットサーフィンを
ダラダラ続けたり、
目的もなくSNSを開いてしまう
それでさらに精神力を消耗し、
依存してしまうという
悪循環に陥る
僕の感覚だと、
特に目的がなく
ネットサーフィンする場合、
10分や20分なら
気晴らし程度にいい。
ただし30分を超えたら
少し長いと考える。
それ以上は依存症の傾向で、
1時間を超えたら
ハマっていると判断する
「ネットサーフィンは1日30分、
SNSは夜9時以降は見ない」
というように、
自分なりの基準やルールを
作ることを勧めしたい。
友達にもそう宣言すれば
理解してもらえるはずだ
そして空いた時間は
本を読んだり、
映画を観るなり、
音楽を聴くでもいい。
その日のレポートや
日記を書くというのも
有意義な時間だ
あるいは運動不足の人であれば、
スポーツやエクササイズなど
体を動かすこともお勧めだ
僕の知人に、
数カ月に1度海外や
人里離れた場所に
旅行に行く人がいる。
いつもは忙しく働き、
メールもLINEも
即座に返事が来るのだが
その際は完全にオフで、
まさにスマホやPCなどの
情報ツールも一切オフにしている。
周囲に、
そのことを告げて出かけるので、
ほとんどトラブルや
不自由はないそうだ。
そんな思い切ったメリハリを
つけることも必要ではないかと
つくづく思う