僕は、人生を良くするために、

何度も目標設定を

してきた時期がある。

 

毎年、新年に

「何を達成したいか」を

自分の手帳に書いていた。

 

もしかして、

似たようなことを

書いたことがないだろうか?

 

言葉だけではなく、

ビジュアル化

した方がいいと聞いて、

自分の夢のイメージに

近い写真をペタペタと貼る

ビジョンボードなるものを

作ったこともある。

 

独立した当時

どんなセミナーに行っても

みな同じことを言っていた

 

「目標を可視化しなさい」

 

成功に近づくために

必要なことだと

 

ところが、

あるとき僕は、

あることに気がついて、

愕然とした。

 

なんと、僕は6年間、

毎年同じ目標を

書いていたのだ。

 

同じことを書き続けて、

実現するどころか、

行動もまったく

できていなかった。

 

思わず、心の中で叫んだ。

 

「意味ないじゃん!」

 

叶いもしないし、

何より、自分が

ダメ人間に思えてくる。

 

いったい目標って、

何のためにあるんだろう……。

ふつふつと怒りが湧いてきた

 

その年から、僕は

目標設定をやめた。

 

そして、

目標設定をやめた代わりに、

手帳の振り返りに

時間を使うようにした。

 

今日、自分に

どんなチャンスがきたのか? 

 

ゴミのようにしか見えない

経験でも何を得たのか

真剣に考えたり、

 

出会った人たちと

何ができるだろうと

想像を膨らませたりと、

 

今「あるもの」を

活かすことに

集中しはじめた

 

未来の行き先が見えないと

怖く感じるので、

つい目標を定めたくなるが、

それを手放して

運に任せようと決めた。

 

そうしたら、

自分でもまったく

想像もしていなかった未来が

待っていた。

 

起業することも、

セミナーが仕事になることも、

自分のコミュニティを持つことも、

自分にできるとは

想像すらしていなかったことが、

どんどん実現できるように

なったのだ。

 

よく

「自分が考えたことしか実現できない」

って言うが、

そんなことないと

心底思った。

 

人生には自分が

考えてもいなかったことも起きる

だから、力強く伝えたい。

 

目標設定しなくても、

「自分にあるもの」を見つけ出し、

それを活かすことで、

想像以上の未来に

たどり着くことができる事を

 

経営学で

「エフェクチュエーション」

という考え方がある。

 

サラス・サラスバシーという

経営学の博士が、

優れた起業家の思考法を

研究したところ、

これまで考えられていた

成功法則とは真逆の法則

があることがわかったのだ

 

それは、

 

「優れた起業家は、

 目標を設定し、

 そこから逆算し

 計画を作成する

 逆算型思考ではなく

 手持ちの手段から

 新しいゴールを発見していく

 思考法である」

 

ということだ

これは、「あるもの」を

活かす思考と、

とても似ている

考え方だ

 

自己啓発だけでなく、

ビジネスの世界でも、

こういった考え方が

主流になってきている

 

 

誤解されないよう付け加えるが

 

「目標を可視化し、

 それに沿って行動する」

 

という事を

否定しているのではない

 

それができる人は

そのスタンスは変えない方が

良いかもしれない

 

ただ目標設定型の生き方が

うまくいかなかった

僕のような人には、

自分に今「あるもの」を

見つけ出し、

それを活かす

生き方をおすすめしたいのだ

 

そもそも目標というのは、

自分の知っている範囲でしか

立てられない。

 

自分のまだ見ぬ可能性は、

目標に入れられないのだ。

 

自分の知っている範囲で

考えつく目標に固執することで、

自分の選択肢を

狭めてしまう可能性もある。

 

今の自分が持っている、

たくさんの「あるもの」に

目を向けてみようという事だ

 

僕が実践する振り返り方法は、

「書く」と「振り返る」を

分けてやる。

 

書くだけではなく、

「書いたことを振り返る」

ところが大切なのだ

 

なぜ、書くだけではダメで、

振り返る必要があるのか? 

 

これには明確な理由がある。

 

まずは、

書くことの効果だが

書くことの重要な効果は、

感情を言語化し、

気持ちが整理されることにある。

 

泣いている赤ちゃんを

想像してみてほしい。

 

赤ちゃんが泣いたら、

親は

「あれ? 

何か不快なことがあるのかな?」

 

と異変を察知して、

「お腹が空いたのかな?」

「おむつが汚れたのかな?」

と不快を生み出している原因を探る

 

赤ちゃんは言葉を話せないので、

泣くことで不快を伝えようとするが、

実は、生まれたばかりの赤ちゃんは、

そもそも自分が何を不快に感じている

か自分では特定できていない

 

お腹が空いているのか、

眠いのか、

痒いのか、

自分では認識できない

 

赤ちゃんの気持ちを代弁すると、

 

「何が気持ち悪いのか

 わからないけれど、

 なんか不快! 助けて!」

 

といった感じだ

 

考えてみてほしい。

 

これって、

赤ちゃんだけの話だろうか? 

 

大人にも似たような状況は

よくあると思わないだろうか?

 

嬉しいことも、

危機的な状況も、

心が動いたありとあらゆることを

「やばい」の一言で表現したり、

腹が立ったことを

「なんか、ムカつく!」だけで

終わらせていることは、

多くの方が経験しているはずだ

 

いったい何に心が動いているのか、

それは悲しみなのか、

怒りなのかを

自分でもわかっていない。

 

これは、何が不快かを

自分でもわかっていない

赤ちゃんと同じなのだ。

 

自分の感情をより詳しく

表現できる人の方が、

よりストレスに強いという

研究結果がある

 

感情を詳しく表現できると、

脳が混乱せず、

メンタルが安定するのだ。

 

自分の感情を

より細かく特定していくことに、

書くことが役立つ

 

何を恐れているのか

 

言語化することで、

緊張から解放された

僕の事例を紹介したい。

 

あるとき、僕は

著名な大学教授と

対談する機会をもらった。

 

この対談の1週間前から、

僕はとても緊張していた。

 

1週間の内、

3回も先生が夢に出てくるほど、

常に対談のことで

頭がいっぱいだった。

 

でも、僕は

「あ~、緊張する~」という

ところで止まったままで、

いったい何に緊張しているのかまで

考えていなかった

 

当日、緊張しすぎて

お腹が痛くなってきたので

僕は、いったい何に

こんなに緊張するのか?

 

いったい何を

怖がっているのか?

を書き出してみることにした。

 

まず、頭に浮かんだのはこれだった

 

「みんなの前で話せるかが心配?」

 

まぁ、それもなくはないのだが、

いつも一人で話しているときとは

違う緊張だったので、

もっと他にも理由があるなと

考えた。

 

次に思い浮かんだのは、これだ。

 

「先生と盛り上がらないことが心配?」

 

これは、これで心配だなと

思った。

 

ただ、なんだか、

まだ確信に

たどり着いていない

感じがする。

 

さらに考えて、

盛り上がらないって

どういうことだろう?

 

 と考えてみたら、

こんな答えが出てきた

 

「先生の話したことを、

僕が理解できずに、

反応できなかったら困る!」

 

ここまでたどり着いて

「これだ!」と

納得した。

 

先生に難しい話をされて、

僕が理解できずに、

ポカンとしてしまうと、

その場をどうやって

進めればいいか

わからなくなってしまう。

 

こうなることが一番怖いことだ! 

 

と緊張の原因を

突き止めることができた

 

 

次に、ここまで言語化できると、

 

「じゃあ、

実際にそうなったらどうする?」

 

と考えてみることができる

 

もし理解できなかったら、

 

「わからなかったので、

もう少し詳しく教えてください」

 

って言ってみよう。

 

そんなことで

先生は怒るわけがない。

 

こう決めたら、

「じゃあ、何も怖いことはない!」

と思えて、心が落ち着いたのだ。

 

結果、対談は盛り上がり、

とてもいい経験になった

 

「なんだか、緊張する!」で

止まっていたときは、

いったい何が怖くて

緊張しているのか

わからずに、

頭が混乱している状態だった。

 

でも、何が怖いのかを言語化して、

突き止めたおかげで、

「じゃあ、どうする?」

という次のことを

考えることができた

 

毎日、書き出すことで、

言語化は上達していく

 

最初の頃は「やばい」の一言しか

書けなかった人も、

 

もっと詳しく書きたくなって、

自然と

「何がやばいのか」

「なぜやばいと感じたのか?」

 

など言語化の粒度が

高くなっていく。

 

自分の考え・想いを

よりクリアに言語化して

いけるようになる

 

これが書く効果だ

 

書くだけでも、

頭と心がスッキリする

 

この効果のために

書き続けている方も

多いと思う

 

それくらい大切な効果なのだ。

 

みなさんも、ぜひ、

まずは日々の出来事や

感情をノートに書きだすところから

はじめてみてはいかがだろう