前回は公立高校について書いたが
今回は中学入試に
スポットを当ててみたい

名門私立中学の
合格をつかんだ生徒たち。


その後東大に進学する
子どもたちも多く、
中には
「東大受験より、
中学受験のほうが大変だった」
との声もある

彼らは中学受験、
どんなスタンスで
挑んでいたか?

都内では私立中学に進学する
子どもたちが4割を超える
区もあるほど、
過熱する中学受験。

中学受験をする子どもの多くは、
小学校低学年のころから
塾に通い始める。

親にとっては、
金銭的にも肉体的にも、
大きな負担になる
 

一方で、東大生に話を聞くと、
中学受験で勉強に目覚めて、
東大に合格しているパターンが
以外にも多い。

東大生たちは、
中学受験のために
どのような準備を
していたのか? 

今回は東大生や、
東大生の子どもを持つ親御さんの
話をまとめてみた

 

まず、

いちばん驚かされたのは、
「受験をやめたければ、やめる」
というルールを
あらかじめ課していた家庭が
多かったということだ
 

中学受験と聞くと、
親御さんが強制的に
子どもに勉強をやらせている
イメージがある。

しかし、実際に
東大に合格した子どもを
育てた家庭の場合
「やりたくなくなったら、
やめていい」と伝えて、
中学受験をさせていたケースが
多かった

 

なぜそんなルールを
課している場合が多いのかについて、

見事難関中高一貫校に合格し、

その後東大経済学部に合格したAくんは

こんな経験を話してくれた
 

「本当に受験が
嫌になったときがありました。
親にそう話したら、
泣きながら

『ごめんね。つらいよね。
それなら、

ここまで頑張ってきたけれど、
やめてもいいよ?』

と言ってくれたのです。

 

逆にその言葉で、

『いや、もう少しだけ、

頑張ってみようと思う』と言って、

最後まで頑張ることができました。

あの時、

親から頭ごなしに

『つべこべ言わずに勉強しなさい!』

と言われたら、

逆に途中で心が折れてしまって、

受験をやめてしまっていたと思います」

 

 

また、中学受験をした

東大生たちに、

「中学受験をしてよかったと思うか?」

と尋ねると、

ほとんどの人が「よかった」と

解答していた。

その理由としては、
以下のようなものだ。
 

・中学受験の塾や、
  進学先などで、
  さまざまな
  バックグラウンドの
  友人に出会えて、
 人生経験に厚みが出た

・中学受験のときに、
  刺激をくれる仲間に
  出会えたのがよかった

・第1志望には落ちてしまったが、
  その過程で勉強の楽しさが
  わかったのは、とてもよかった
 

 

興味深いのは、
中学受験をして
「よかった」という回答を
した東大生の中には、
受験で不合格だったという人も
含まれていた点だ

結果がよかったから
「よかった」のではなく、
本気で頑張って、
ポジティブな気持ちで
受験勉強をしたからこそ、
その結果が
いいものではなかったとしても、
受験することには
ネガティブなイメージを
抱かなかったという事だ
 

だからこそ、
「中学受験では
第1志望に

合格できなかったけれど、
大学受験こそは
第1志望に受かりたい!」

と考えて、
東大に合格しているケースも
少なからずいる
 

重要なのは、
中学受験を通して、
受験や勉強に対して
ポジティブなイメージを
持つことだ。

 

合格・不合格を超えて、
中学受験が
ポジティブな経験になっていれば、
その後の人生において、
受験や、勉強、
ひいては何かに挑戦することに対して、
ポジティブな気持ちになれるのだ
 

それとは逆に、
中学受験に対して
ネガティブな印象を持ってしまい、
「親から強制されて、やらされた受験」
だと、結果とは関係なく、
悲惨な状況に陥ってしまうケースもある

僕はそれをいやという程見て来た

 

自分の意思で
中学受験に挑まないと、
親の希望する
中学に行っても楽しめず、
落ちこぼれてしまう場合もある
 

「名門進学校に行ったら
楽しいわよ!」
と親に言われて受験して、
進学先の学校が自分に合わず、
1カ月で辞めてしまった、
という人もいる。

合格だけがゴールだと、
合格した後が大変なのだ
 

だからこそ、
「いつでもやめていい」
というスタンスは、
子どもにとって有効なのだ。

あくまでも子どもが
自分の将来の可能性を
広げるために
やっていることであり、
親がやらせているものではない、
という姿勢を貫くのだ
 

短期的に考えると、
親が強制的にやらせるよりも
効果が減ってしまう部分もある
 

ですが長期的に考えれば、
もし強制的にやらされていたら、
「勉強=やらされるもの」
という印象を抱いてしまい、

「受験=親のエゴで
やらなければならないもの」

という感覚にまで陥り、
その後の人生にとって
大きなマイナスになってしまうのだ

そうではなく、
子どもには
「あくまでも、自分が選択したもの」
として、中学受験を
捉えてもらったほうがいい
 

「でも、それだとなかなか子どもが
勉強しないんじゃない?」

「簡単に『じゃあ、やめる』と
言われたらどうしよう」

と思う人もいるかもしれないが、
そこは親御さんの腕の見せ所だ
 

子どもと一緒に、
中学受験を頑張る理由を

探してあげて、
子ども自身に
「この中学に行きたい」と
思わせるような工夫が大事になる
 

例えば鉄道が好きな子どもなら、
鉄道研究会がある学校を探してあげて、
文化祭などで展示している

学校があるなら、
文化祭に連れて行ってあげる。

年上のお友達の中で、
行きたい中学校に通っていた
経験がある子を探してみる。

その中学を卒業した
大学生をバイトで雇ってみて、
家庭教師をしてもらう、
なんていうのもいいだろう
 

とにかく、子どもと一緒に、
中学受験を頑張る理由を
探してみるのだ。

あるいは、
楽しい勉強の参考書を買ってみたり、
図鑑を渡してみたり、
勉強になるクロスワードパズルを
買い与えてみたりすることも

有効だった
 

誰かに与えられた理由で
頑張れるほど、
中学受験は甘くはない。

子どもが自分でしっかりと考えて、
自分自身の中でも
納得感がある受験ができなければ、
肝心なときに力を
発揮することができない

 

仮に合格したとしても、
進学した中学校で
失敗してしまうこともある

結局、子どもが心の底から
「ここに行きたい!」と
思わなければ、
成績なんて上がらないし、

1時間勉強するよりも
「ここに行きたい!」と
思えるようなイベントを、
1時間体感させて
あげることのほうが、
効果が出ることもある

 

だからこそ、
勉強の時間を削ってでも、
しっかりと
「自分が行きたいと思えるように」
手伝ってあげる必要がある
 

逆に「行きたい理由」は
はっきりしていないけれど、
勉強するのはそこまで苦ではなくて、
「とりあえず親に言われたから」
という理由で、
勉強のスイッチ自体は入っている、
というタイプの受験生もいる

 

僕は、そういう子であっても、
きちんと「行きたい理由」を
引き出してあげる必要があると
思っていた
 

そういう子どもは、
意外とその後のタイミングで
息切れしてしまって、
勉強をやめてしまうこともあるのだ
 

「行きたい理由」が明確でないと、
受験勉強はうまくいかなくなって
しまう場合があるというわけだ。

親の受験ではなく、
本人の受験にする。

これが中学受験の必勝法と言っても、
過言ではないだろう

ぜひ、

子どもが中学受験をする場合は、
「本人が行きたい理由」を
一緒に考えてあげてほしい