元々、親の「愛情」から

スタートした子育ては

 

やがてさまざまな要因によって

その愛情ゆえに「欲」が出てきて、

それはやがて「期待」に変わり、

その期待通りに進まないと

最後は「焦り」になることが

よくある

 

それはしばしば起こる

現象ではあるが、

 

焦りは少ないほうが

よいに越したことはない。

 

しかし、欲や期待が

強くなってしまう傾向は

なかなか変えることは難しい

 

保護者と面談する中で

その多くの根底には、

「親の欲と期待」から生まれた

「焦り」があった

 

完全になくすことは

できないまでも、

最小化したケースは

多々ある。

 

そのための3つの手段がある。

そのうちの1つでも

実践できれば

効果が出るかもしれない

 

焦りが生まれるのは、

親の子どもへの期待値が

高いことが原因であることが

少なくない。

 

そもそも期待値は

現状よりも常に高い状態にある。

 

親が子どもに望む状態が

現状より大きく超えてしまうと

現状とのギャップが

大きくなっていき、

そのギャップから

焦りや絶望感が出てくる

 

「そんなに期待値は高くない」と

思われるかもしれないが、

親の欲望は気づかないうちに、

どんどん上がることがある

 

「ここまでできるのだから、

これもできるよね」

 

「それもできたのなら、

これももっとできるよね」と。

 

 

子どもが自分の意思で

伸びようとする場合は

まったく問題ないが

 

親の意思だけで進めると、

このように期待値が勝手に上がり、

そこに近づけようとして、

指示、命令、脅迫、説得の

4手段を使ってしまう

 

その結果、

子どものモチベーションを

大きく下げていく

 

ではどうすればいいのか。

答えはそうむずかしくはない。

 

期待値を下げればいい。

どこまで下げるかと聞かれれば、

究極まで下げてほしい。

 

究極まで下げた期待値とは、

「この子が健康で

生きているだけで感謝、満足」

 

というレベルだ。

 

するとそれ以外の出来事は、

すべてラッキーな事と

受け取ることができる

 

究極まで期待値を下げると、

次のようなサイクルができる

 

①親が笑顔で

「この子が健康で生きているだけで

感謝、満足」と認識する


②親の子どもへの言葉かけ、

態度が「もっと、もっと」から

「承認」に変わる


③子どもの自己肯定感が上がる


④心が満たされるため、

子どもが自主的に行動する


⑤親は、それをラッキーな出来事と

また「感謝」する


⑥子どもは自分を

伸ばそうと挑戦していく

 

子どもは親の「笑顔」を

見たがっている。

 

これは20年間、

教育事業に携わってきた

僕の考察結果だが、

例外はないと

今でも考えている。

 

子どもが頑張って

成果を出したときには

親の笑顔が自然と

出てくると思うが

 

もし子どもが頑張らず、

伸びていなかったら、

笑顔は出てこないかもしれない。

 

だとしたら、

子どもが結果を出すまで

笑顔がないことになる

 

しかし

「この子が健康で

生きているだけで感謝、満足」

という究極の期待値まで“

本気で”下げていけば、

笑顔は日々自然と出てくる。

 

そこから、

上記のプラスのサイクルが

回り出す

 

2つめは

仮想の基準を手放す

→子ども独自の基準を作る

 

仮想の基準とは、

周囲からの同調圧力によって

作られた基準、

親のこだわりという基準、

兄弟姉妹間の比較によって

作られた基準のことを言う。

 

つまり、何かとの比較によって

自分の子どもを評価すると、

どうしても足りない部分に目が行き、

それを補うために、

「もっと、もっと」が出てくる。

 

もちろん、

できていないことは、

その子のペースで教えていく。

 

しかし、

その子に合わせないで、

親の欲や期待だけで

進めてしまうと、

子どものリズムは壊れていく

 

では、どうすればいいのか?

 

それは子ども独自の基準を

作ることだ。

 

独自の基準とは、

「その子らしさの評価基準」と

言ってもいいだろう

 

そのために

次の2つのステップを

踏んでみてほしい

 

①自分の子どもの長所を

10個挙げてください

 

長所とは、

その子の中で目立つ

凸の部分だ

 

決して他者と比較して

良いと思われる部分ではない。

 

普段から仮想の基準で

子どもを見ていると、

欠点や短所ばかりが出てくるが、

10の長所を出すことができたら、

まさに子ども独自の基準を

見ていることになる

 

②それを子どもに

言語化して伝えてください

 

思っているだけでなく、

機会があれば、

長所を言語化して

子どもに伝えてみてほしい。

 

「よく気がついて助かるわ」

「笑顔がとてもいいね」

「その姿勢は美しいね」

 

など状態の長所でもいいし、

「計算速いね〜」

「電車の知識はすごいね〜」と

能力の長所でも構わない

 

要するに、

子どもの中で

凸の部分を言語化して

伝えてあげるだけでいいのだ

 

以上のステップによって、

こども独自の基準ができる。

 

この段階で、

親の欲、期待、焦りは

かなり最小化していると思う。

 

 

最後は、欲、期待、焦りに

使っていた“エネルギー”の

向きを変える

 

つまり、どうすれば今を楽しめるか?

という事だ

 

最後の方法は、

“エネルギー転換”だ。

 

今までは

子どものことが気になって、

気になって仕方がない

状態だったとおもう。

 

しかし、気にしたところで、

余計な声かけをしてしまったり、

イライラするだけだったりする。

 

そこで、

これまで子どもへの

欲、期待、焦りに

使っていた“エネルギー”を

別に使っていく

 

イメージとしては、

スマホのアプリを想像してほしい。

「欲アプリ」

「期待アプリ」

「焦りアプリ」

 

をいつもフル稼働させているため、

スマホの電池(エネルギー)は

そこで消耗される

 

そのようなアプリに

電池を使うのではなく、

「楽しむアプリ」に

電池を使う。

 

具体的には次のようなことだ

 

「今日という子どもとの貴重な時間を

どのように楽しんで過ごそうか?」

 

に意識を向けていく。

 

すると「楽しむアプリ」に

電池が使われていき、

「欲や期待や焦り」

に向けるエネルギー量が

少なくなっていく。

 

人は同時に

いくつものことに

意識を向けることができない。

 

子どもを前にしたときに、

子どもとの貴重な二度とやってこない

「◯歳◯カ月◯日という今日を」

どのように楽しく過ごすかと

考えていけば、

欲や期待、焦りは

出てきにくくなる。

 

以上、3つの手段について

僕なりの考えを伝えてみた。

 

これらは一見、

欲、期待、焦りを

最小化させるためだけの

方法に見えると

思うかも知れないが

実はその続きがある

 

これらを行うことで、

今までやっていた

子どもへの不要な

圧力、声かけ、態度が

変わっていく。

 

その結果、

子どもに行動変容が起こる。

 

本来の子どもが

持っている力が発現し、

その子らしく

生き生きと

活動ができるようになる。

 

中学受験をする親子で

「親の子どもへの

過度な欲、期待、焦りによって

子どもを伸ばさないだけでなく、

潰してしまう」こともある。

 

また、学力は伸びていても

親子関係が悪かったり、

夫婦仲が悪化して

いったりする場合も

少なくない

 

学力向上、

合格のためなら、

親子の信頼関係や

家庭内雰囲気を

犠牲にしてもよいとしたら、

それは本末転倒だ

 

そうではなく、

親子の信頼関係を強め、

円満な家庭を築きつつ、

子どもを伸ばすことは

十分可能だ

 

そのためには、

「親の子どもへの欲、期待、焦り」を

最小化させる3つの手段を

1つだけでもいいので

実行してみてほしい。

その効果に驚くはずだ